3月31日の世界の昔話
シンデレラ
ペローの童話 → 詳細
むかしむかし、とても美しくて、やさしい娘がいました。
でも、お母さんがなくなってしまい、お父さんが二度目の結婚をしたので、娘には新しいお母さんと二人のお姉さんができました。
ところがこの人たちは、そろいもそろって、たいへんいじわるだったのです。
新しいお母さんは、自分の二人の娘よりもきれいな娘が気に入りません。
「まあ、あんたは、なんてかわいくない娘でしょう」
三人は、つらい仕事をみんな、娘に押しつけました。
寝床は粗末(そまつ)なわらぶとん。
着る物は、つぎあてだらけ。
おふろに入ることもゆるしてもらえず、娘のあたまに、いつも、かまどの灰が付いていました。
そこで三人は、娘をシンデレラ(→灰かぶりの意味)とよんだのです。
かわいそうなシンデレラでしたが、それでも、お姉さんたちの何倍も何倍も美しいのでした。
ある日のこと、お城の王子さまが、お嫁さん選びの舞踏会(ぶとうかい)を開くことになり、シンデレラのお姉さんたちにも、招待状が届きました。
お姉さんたちは、大はしゃぎです。
シンデレラはお姉さんたちのしたくを手伝い、ニッコリ笑って送り出しました。
それから悲しくなって、シクシクと泣きだしました。
「わたしも、舞踏会にいきたいわ」
「泣くのはおよし、シンデレラ」
「・・・? だれ?」
シンデレラの目の前に、妖精(ようせい)が現れました。
「シンデレラ、おまえはいつも、いい子ですね。ごほうびに、舞踏会へ行かせてあげましょう。まず、畑でカボチャを取っておいで」
妖精が大きなカボチャをくりぬき、つえでたたくと、なんと、金の馬車(ばしゃ)になったではありませんか。
「まあ、立派な馬車。すてき」
「まだまだ、魔法はこれからよ。さてっと、馬車を引くには、馬が必要ね。その馬は、どこにいるのかしら・・・。ああ、ネズミとりには、ハツカネズミが六匹ね」
妖精は、つえでハツカネズミにさわりました。
するとみるみるうちに、りっぱな白馬になりました。
別のネズミとりには、大きな灰色ネズミが一匹いました。
「このネズミは・・・」
妖精がつえでさわると、今度は、おひげがりっばな、太っちょ御者(ぎょしゃ→馬車を操る人)に早変わり。
「シンデレラ、つぎはトカゲを六匹集めておくれ」
「はい」
シンデレラの集めたトカゲは、お供の人になりました。
「ほらね、馬車に、白馬に、御者に、お供。さあシンデレラ。これで、舞踏会に行くしたくができましたよ」
「うれしい。ありがとう。・・・でも、こんなドレスじゃ」
「うん? そうね、忘れていたわ」
妖精がつえを一ふりすると、みすぼらしい服は、たちまちかがやくような美しいドレスに変わりました。
そして、小さくてすてきな、ガラスのクツもくれました。
「楽しんでおいで、シンデレラ。でも、わたしの魔法は十二時までしか続かないの。決してそれを忘れないでね」
「はい、行ってきます」
さて、お城の大広間にシンデレラが現れると、そのあまりの美しさに、あたりはシーンとしずまりました。
それに気づいた王子が、シンデレラの前に進み出ました。
「ぼくと、おどっていただけませんか?」
シンデレラは、ダンスがとても上手でした。
王子はひとときも、シンデレラの手をはなしません。
楽しい時間は、あっというまにすぎて、ハッと気がつくと、十二時十五分前です。
「あっ、いけない。・・・おやすみなさい、王子さま」
シンデレラはていねいにおじぎをすると、急いで出ていきました。
ですが、あわてたひょうしに階段にひっかかって、ガラスのクツがぬげてしまいました。
でも、取りに戻る時間がありません。
シンデレラは待っていた馬車に乗って、急いで家へ帰りました。
シンデレラが帰った後も、王子は美しいシンデレラを忘れることができません。
「ぼくは、このガラスのクツの持ち主と結婚する」
そこでお城の使いが国じゅうを駆け回り、手がかりのガラスのクツが、足にぴったりあう女の人をさがしました。
使いは、シンデレラの家にもやってきました。
「足が入れば、王子さまのお嫁さんよ」
二人のお姉さんたちは、足をギュウ、ギュウと、押しこみましたが、どうしても入りません。
「わたしもはいてみて、いいでしょうか?」
シンデレラがたずねると、お姉さんたちは大笑いしました。
「なにをバカなことをいっているの。あたしたちにも入らないのに、あんたなんかに、・・・あっ!」
シンデレラがはいてみると、クツはピッタリです。
みんなは驚きのあまり、口もきけません。
「あらあら、わたしの出番ね」
そこへ、あの時の妖精が現れました。
妖精がつえを一ふりすると、シンデレラはまぶしいほど美しいお姫さまになっていました。
お母さんとお姉さんたちは、ヘナヘナと、腰をぬかしてしまいました。
それからシンデレラは王子と結婚して、いつまでもしあわせに暮らしました。
おしまい
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