きょうの世界昔話
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7月17日の世界の昔話

ウサギのツノ
イラスト 「荒駒るみ」

ウサギのツノ
ザンビアの昔話 → ザンビアの国情報

 むかしむかし、ゾウはビールやごちそうを用意すると、動物たちを呼んで宴会(えんかい)を開きました。
 集まった動物たちに、ゾウが言いました。

ウサギのツノ

「このビールは、ツノのあるものだけに飲ませてやる。ツノのないものはだめだ」
 それを聞いたウサギは、自分にツノがないのがざんねんでなりません。

ウサギのツノ

「ビールは、おいしいんだろうなあ。ツノがあれば、ビールが飲めるのに。

ウサギのツノ

 ・・・そうだ、ツノを手に入れればいいんだ」

ウサギのツノ

 そこでウサギはしげみにかくれて、若いシカが来るのを待ちました。

 そしてシカがしげみのそばを通りすぎようとしたとき、

ウサギのツノ

「今だ!」

ウサギのツノ

 ウサギはシカの背中に飛び乗ると素早くシカのツノを切り取って、

ウサギのツノ

 自分の頭にはりつけたのです。

ウサギのツノ

「よしよし、これでビールが飲めるぞ」
 ツノを手に入れたウサギは、大いばりでゾウの宴会に出かけていきました。

ウサギのツノ

「ゾウさん。ぼくにもビールをください」
「ウサギはだめだ。言っただろう、ツノのないものは・・・。おや?」
 ゾウはウサギを見ると、びっくりして言いました。
「何と、ウサギにもツノがあったのか。しかもどの動物よりも、立派ではないか。

ウサギのツノ

 たいしたものだ。さあさあ、えんりょなく飲め」
 生まれて初めてビールを飲んだウサギは、ビールをだれよりもたくさん飲みました。

ウサギのツノ

「ぷはーーっ! 良い気持ちだ。ビールとは、なんとおいしい飲み物だろう」
 ウサギは酔っぱらって、足元がフラフラです。

ウサギのツノ

 するとそこへ、年寄りのシカがやって来ました。
 ウサギは、シカに言いました。

ウサギのツノ

「おやおや、ずいぶんおそくおいでだね? おじいさんには、ツノがないのかい?」
「わしは、お前がどんな顔をしてビールを飲んでいるか、見物に来たのさ」
 年寄りのシカはウサギに近づくと、ヒソヒソ声で言いました。

ウサギのツノ

「わしは、お前がツノを切り取ったシカのおじだ。あんまりフラフラしていると、はりつけたツノが取れてしまうぞ」
 お客の動物たちはシカの言葉を聞いて、こちらに集まってきました。

ウサギのツノ

 ウサギは、むりやり笑って答えました。
「あはははは。このおじいさん、ごちそうを食べ過ぎて頭がおかしくなったんですよ。このツノは、生まれたときからわたしのツノですよ」
 年寄りのシカはそれを聞いて、大声で言いました。

ウサギのツノ

「あんまりフラフラしていると、はりつけたツノが取れてしまうぞ!」
 それを聞いて、ゾウとお客の動物たちはウサギのツノをジロジロながめました。

ウサギのツノ

(これはまずい、どうしよう?)

ウサギのツノ

 ウサギは怖くなって、ガタガタとふるえ出しました。

ウサギのツノ

 するとそのはずみで、頭にはりつけたツノがポロリと地面に落ちてしまいました。

ウサギのツノ

「わあー! ごめんなさーい!」

ウサギのツノ

 ウサギはあわてて、逃げていきました。

おしまい

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