8月13日の世界の昔話
つぐみのひげの王さま
グリム童話 →詳細
むかしむかし、ある国に、とてもわがままなお姫さまがいました。
王さまは、結婚したらきっと、お姫さまのわがままがなおるだろうと思って、となりの国の若い王さまにお姫さまを会わせました。
しかし、お姫さまは、
「なによあれ。あごが曲がって、つぐみがひげを生やしているみたいだわ。あんな男、大きらい!」
そう言って、結婚をことわりました。
王さまはおこって、お姫さまに命令(めいれい)しました。
「人の顔を笑い者にするとはなさけない! おまえはこんど来るこじきと結婚して、城を出ていけ!!」
そして城にやってきたこじきと、ほんとうに結婚させて、城を追い出してしまったのです。
お姫さまは、泣きながらこじきの後を歩いていきました。
途中で、大きな森や牧場(ぼくじょう)、それににぎやかな都(みやこ)を通りました。
「これはみんな、つぐみのひげの王さまのものさ」
こじきは言いました。
お姫さまは、
(こんなことなら、あの人と結婚すればよかった)
と、思ったのですが、もうどうしようもありません。
さて、こじきはお金がありませんので、お姫さまもはたらかなくてはなりません。
そこで、つぐみのひげの王さまのお城に行き、お城の台所ではたらくことにしたのです。
でも、家事(かじ)はなにも出来ないお姫さまは、なにをやっても失敗ばかり。
そんなある日、お城でパーティーが開かれました。
するととつぜん、つぐみのひげの王さまが台所に現れて、お姫さまに言いました。
「お嬢さん、わたしとおどっていただけませんか?」
「えっ? ・・・あの、その」
ビックリするお姫さまの手を、つぐみのひげの王さまがグイッとひっぱりました。
そのとたん、服の下からツボがゴロンと転がり落ちました。
そのツボには、食べ物の切れはしがいっぱい入っていました。
お姫さまがこじきと食べるため、こっそりためておいた物です。
「ワハハハハッ。なんだあの娘は」
まわりにいた人は、大笑いです。
まっ赤になったお姫さまは、転がり落ちたツボを大切にかかえると、そのまま逃げ出そうとしました。
すると、王さまはお姫さまをだきとめて、お姫さまを引きとどめました。
そしてポケットから、きたないボウシとマフラーを取り出して、それをかぶりました。
「あなたは、わたしの顔を忘れたのかい?」
そのボウシとマフラーは、あのこじきの物だったのです。
「ああ、あなたは、わたしのだんなさま・・・・」
「そうです、わたしは、あなたのわがままをなおすため、こじきになっていたのです。いままで、つらい思いをさせてもうしわけない。でも、そまつな食べ物でも大切にしているところを見ると、あなたのわがままは、もうすっかりなおったようですね。お姫さま、今度はこじきとしてではなく、つぐみのひげの王としてあなたをおきさきにむかえたい。どうでしょう、こんな顔のわたしでも、受け入れてくれますか?」
お姫さまは、おどろいたり喜んだり。
それからお姫さまとつぐみのひげの王さまは正式に結婚して、いつまでも幸せに暮らしたということです。
おしまい
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