12月18日の世界の昔話
ほら吹き男爵 木の幹にきばを打ち込んだイノシシ
ビュルガーの童話 → ビュルガーの童話について
わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。
ある時、わがはいは森の中で、子牛ほどもある大イノシシに襲われた。
突然の事で、鉄砲を構えるひまもない。
わがはいは大きな木のかげに逃げ込むのがやっとだったが、大イノシシは情けようしゃもなくキバをうならせて突進してきた。
「もう、だめだ!」
わがはいは観念して、目を閉じた。
すると、そのとたん、
ズシーン!
と、大きな物音とともに、わがはいが隠れていた木が大きくゆれた。
おどろいて顔をあげると、なんとイノシシのやつはキバを木の幹に打ち込んで、それが抜けずにじたばたともがいているではないか。
「しめた!」
わがはいは踊りあがって喜ぶと、木の反対側に突き出たキバを石でたたいてひん曲げてやった。
これで大イノシシは、もう逃げる事が出来ない。
わがはいは久しぶりの大物を運ぶ為に、我が家へと手押し車を取りに帰ったのだ。
『イノシシに襲われた時は、大きな木のかげに隠れよう』
これが、今日の教訓だ。
なにしろイノシシという生き物は、前に向かっての突進は得意だが、横に回り込んだりするのが苦手だからな。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい
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