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第 40話
撮影 下山 孝 禁転載 写真掲載元 猪名川流域の鳥 ヒバリ
ヒバリと農夫
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※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 : 神栖星花研究所 「神栖星花研究所」
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投稿者 「天乃悠の朗読アート」 天乃悠の朗読アート
ある春の事。
お母さんヒバリが新緑の麦畑に巣を作って卵を産みました。
卵から生まれたヒナたちはぐんぐん成長し、空を飛べる様になりました。
そんなある日、農夫が息子を連れてやって来ました。
実が黄色くなった麦を見て、農夫が言いました。
「明日にでも友達に頼んで、刈り入れをやってもらわないとな」
それを聞いた一羽のヒナが、あわててお母さんに言いました。
「お母さん、大変だよ。すぐにどこかへ避難しないと」
するとお母さんは、こう答えました。
「まだ避難しなくても、大丈夫ですよ」
「どうして?」
「刈り入れは大変な作業なの。よほどの友達でないと、刈り入れなんて手伝ってくれないわ」
お母さんヒバリの言葉通り、翌日になっても小麦畑には誰も来ませんでした。
数日後、農夫と息子がやって来て、たわわに実った麦を見て言いました。
「明日にでも親戚に頼んで、刈り入れをやってもらわないとな」
それを聞いた一羽のヒナが、あわててお母さんに伝えました。
「お母さん、今度は友達ではなく親戚を連れて来るって。すぐにどこかへ避難しないと」
するとお母さんは、こう答えました。
「親戚は友達よりは近い関係だけど、親戚も自分たちの畑で忙しいから、この畑の刈り入れなんて手伝ってくれないわ」
お母さんヒバリの言葉通り、翌日になっても麦畑には誰も来ませんでした。
また数日後、農夫と息子がやって来て、実が入りすぎて落ちた麦を見て言いました。
「これは大変だ。明日にでも俺とお前で刈り入れをしないと」
これを聞いたお母さんは、ヒナたちに言いました。
「さあ、坊やたち。出かける準備をしましょう。人間が自分でやろうと決めたときは、本当に本気のときだからね」
お母さんヒバリの言葉通り、農夫と息子は翌日に刈り入れを行いました。
このお話は、人間は本当のギリギリにならないと行動出来ないと教えています。
おしまい
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