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7月9日の日本の昔話
焼印を押されたカッパ
分人烙印个河童
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、あるお寺に、千寿丸(せんじゅまる)という小僧さんがいました。
頭擺頭擺,某一個寺廟,有一個安到千壽丸个細沙彌。
千寿丸はとてもかしこい小僧さんで、和尚(おしょう)さんのお気に入りです。
千壽丸係一個非常聰明,也係和尚最愛个細沙彌。
ある日の事、千寿丸はほかの小僧さんたちと一緒に、花をつみに出かけました。
有一日,千壽丸摎其他細沙彌共下出去摘花。
すると大きな池があって、その池の中ほどに、とても見事なハスの花が一つだけ咲いていたのです。
半路有一個大陂塘,的對在陂塘中央,開一蕊當靚个蓮花。
(何と美しい花だろう。これをつんで帰れば、和尚さま、きっと喜ぶにちがいない)
(還靚个花。若係摘轉去,和尚師父定著會當歡喜。)
千寿丸は、池の土手(どて)をおりて行きました。
千壽丸對陂塘䃗行下去。
そばに生えているつる草をつかんでハスに手を伸ばしますが、ハスは届きそうで届きません。
抓等脣頭生个藤仔,伸手去摘蓮花,但係像會伸到蓮花該位,又伸毋到。
「千寿丸、危ないからやめろ」
「千壽丸,當危險、停下來。」
ほかの小僧さんたちが止めても、千寿丸はハスの花を取りたい一心で、水の上に体を乗り出しました。
其他細沙彌喊佢毋好,毋過千壽丸還係硬硬摎自家个身體貼在水面頂,想愛摘著蓮花。
そしてやっとハスの花に指先が届いたものの、指先では力が入らずうまく折る事が出来ません。
總算,手指頭揬著蓮花,但係毋罅力,無法度拗斷。
そこでもう少し、体を乗り出したとたん、
所以等佢再過探較出兜時節,
ドブン!と、千寿丸は池の中に落ちてしまったのです。
pong聲,千壽丸跌落陂塘肚。
「千寿丸!千寿丸!」
「千壽丸!千壽丸!」
小僧さんたちはあわてて池のふちにかけよりましたが、千寿丸の姿はありません。
其他細沙彌舂過去陂塘脣,但係無看到千壽丸。
気がつくといつの間にか、ハスの花もなくなっていました。
等大家注意著个時節,毋知哪量時,蓮花乜毋見忒了。
小僧さんの一人が、大急ぎで和尚さんのところへ知らせに行きました。
其中一個細沙彌煞煞走去通知和尚師父。
「和尚さま、大変です!千寿丸が池に!」
「和尚師父,壞蹄咧!千壽丸在陂塘浸著了!」
びっくりした和尚さんはあわてて池へ駆けつけましたが、千寿丸はどこにもいません。
著驚著个和尚師父緊觸觸走到陂塘脣,無看著千壽丸个魂影。
和尚さんは覚悟を決めると、池に向かって静かに手を合わせました。
和尚師父死心,恬恬雙手合十面向陂塘。
それから片手に杖(つえ)を持ち、何やら呪文(じゅもん)を唱えながら杖の先でさっと北の方をさしました。
用一隻手擎等棍仔,緊念咒拗訣,緊用棍仔比北方。
すると、どうでしょう。
過後,變仰般呢?
今まで静かだった池の水が激しく波立ち、やがてうずを巻いて巻き上がると土手を越えて北の方へと流れ出したのです。
本旦一直恬靜个陂塘水,晃晃激激起大浪,無幾久就起一隻波螺皺,激出陂塘䃗向北洩走了。
「すっ、すごい!」
「還、還慶哦!」
小僧さんたちは、和尚さんの法力(ほうりき→仏による不思議な力)に息をのむばかりです。
該兜細沙彌看著和尚師父个法力(法力→佛陀分个神秘力量)發痴驚、敨大氣。
やがて全ての水が土手を越えて、池が空っぽになりました。
包尾,所有个水都湓過陂塘䃗流走,陂塘變空空、溓忒了。
そして池の底を見たとたん、小僧さんたちはびっくりしました。
一看著陂塘底,該兜細沙彌嗄嚇著。
何と、おぼれ死んでいる千寿丸を囲むようにして、何十匹ものカッパが座っているのです。
仰會有幾下十個河童圍在浸死个千壽丸脣頭。
カッパたちは急に水がなくなった事に驚き、キョロキョロとあたりを見回しています。
忽然間水溓忒,該兜河童嗄嚇著,緊向四周圍看來看去。
「やはり、こんな事だろうと思った」
「果然,像𠊎認為个恁樣。」
和尚さんは空になった池の底へ降りていくと、杖を振り上げて、
和尚師父行下溓忒个陂塘底後,擎起棍仔,
「喝(かつ)!」と、叫びました。
大聲咄:「hoi53!」
そのとたん、カッパたちは和尚さんの法力で、石の様に動けなくなりました。
斯在該下,因為和尚師父个法力,該兜河童像石頭樣無法度停動。
和尚さんは、カッパたちをにらんで言いました。
和尚師父目䁯䁯看河童,講:
「なぜ、こんないたずらをする!ハスの花で小僧を誘い、水中に引きずり込んで命を奪うとは!」
「你兜仰愛恁樣搣耍人!拿一蕊蓮花餳細沙彌拖落水竇肚,害佢死忒!」
怒った和尚さんは真っ赤に焼けた鉄の棒をカッパたちの背中に押しつけて、一匹ずつ焼印(やきいん)をつけました。
當閼个和尚師父用一支燒到紅紅个鐵棍㸐河童背囊,摎逐隻河童烙隻印仔。
やがて和尚さんが法力をとくと、体が動くようになったカッパたちは、そろって和尚さんの前に手をついて謝りました。
包尾,和尚師父解除法力後,做得停動个河童,大家在和尚師父面頭前,兩手貼地會失禮。
「申し訳ありませんでした。もう二度と、人間にいたずらはしません」
「失禮。毋敢再過搣耍人。」
それからと言うもの、このあたりのカッパの背中には全て焼印がついていて、人間にいたずらをする事はなかったそうです。
自該下起,這就近个河童背囊全部有一隻烙印,聽講毋識再過搣耍人。
また、和尚さんの法力で池から流れ出た水は新しい池となり、人々はその池を鏡池と呼ぶようになりました。
另外,和尚師父个法力放出去个水,變成新陂塘,人人喊佢『鏡池』。
おしまい
煞咧
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