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第 21話
小判の虫干し
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
制作 : 朗読ヒツジのメイチャンネル
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投稿者 ごえもん
むかしむかし、あるところに、なまけ者の寝太郎という若者がいました。
寝太郎は、その名前の通り、一日中ごろごろと寝ているだけで、働こうとはしません。
食べる時だけ起きてきて、お腹いっぱいになったら、またごろごろと寝てしまうのです。
寝太郎のお母さんは、とうとう怒って怒鳴りました。
「寝てばっかりいないで、山へでも行って働いておいで!」
さすがの寝太郎も、のっそり起きあがると、ぶらぶらと山へ出かけて行きました。
でも、山へ行っても何もせず、海の見える所まで登ると、
「うん、ここがいい」
と、ごろんと草の上に横になりました。
すると、どこからか、
♪ネズミのお宝、虫干しだ
♪今日も小判を、虫干しだ
と、かわいい声が聞こえてきます。
「なんだ?」
寝太郎が見てみると、草むらからネズミたちが小判をくわえて、ぞろぞろと出て来るではありませんか。
そして、チャリーン、チャリーンと、小判をあたり一面に並べていくのです。
「へへーっ、きれいだなあ、おもしろいなあ」
寝太郎はネズミたちが小判を運んで来るのを、ニコニコしながら見ていました。
やがて日がかげって、夕方になりました。
するとネズミたちは、
♪ネズミのお宝、虫干しだ
♪お日さま沈んで、もう終わり
と、言って、小判をくわえると、また草むらに次々と帰って行きました。
そして小判が全部草むらに消えると、寝太郎はのっそりと起きて
「ああ、ゆかいだった。おらも帰ろ」
と、山を下りてもどりました。
家で待っていたお母さんは、何も持って帰らない寝太郎に、大きなためいきをつきました。
「まったく、しょうのない息子だねえ」
するとそのとき、戸がガタガタと開いて、見たこともない娘さんが入って来ました。
娘さんは寝太郎に、小さく頭を下げると、
「寝太郎さん。今日は小判の虫干しの見張り番をしてくれて、ありがとう。これはそのお礼です」
と、お盆にいっぱいの小判を置いていったそうです。
おしまい
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