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福娘童話集 > 日本昔話 > その他の日本昔話 >命のろうそく
第 97話
命のろうそく
むかしむかし、あるところに、とても仲の良い兄弟がいました。
ある日の事、兄さんが急に具合が悪くなって寝込んでしまったので、弟が神さまにお祈りをしました。
「神さま。どうぞ、兄さんが早く良くなりますように」
するとどこからか、神さまの声が聞こえてきました。
「それでは、天からはしごを降ろしてやるから、登ってきなさい。天には命のろうそくがあるから、兄の命の火を探すのじゃ」
さっそく弟が外へ出てみると、雲の間からするすると長いはしごが降りてきました。
「あれが天のはしごだな。よし、兄さん、待っていてくれよ」
弟がはしごをどんどんどんどん登って行くと、雲の上にある大きな屋敷の中にたどり着きました。
そこには数え切れないほどのろうそくが並べられており、全てのろうそくに火がついています。
よく見ると、ろうそくには全て名前が書いてあります。
「ははーん、これが命の火というやつだな」
弟は、兄の名前が書かれたろうそくを探しました。
すると、どうでしょう。
兄のろうそくは、まだ長くて立派なのに、何かのはずみで横倒しになっており、火が小さく消えかかっていたのです。
弟は火が消えないように気をつけながら、兄のろうそくを立て直すと、隣にあった自分の名前の書かれたろうそくのろうを少し垂らして、兄のろうそくと一緒に倒れないように根元を固めました。
「よし、これで大丈夫だ」
弟が再び長いはしごを使って地上に戻ってみると、兄はうそのように元気になっていたのです。
それからは兄弟二人とも病気一つせず、いつまでも仲良く暮らしたのでした。
おしまい
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