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第 8話
黄太郎と青太郎
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昔々、ある村に二人の娘がいました。姉の名前はイム、妹の名前はオーンでした。
ある日、 二人の娘の父親が母親に言いました。
「イムは本当にいい娘になった。そろそろ結婚させよう。賢い男と結婚させよう。」
「賢い男?そんな男が世の中にいますか。」と母親は言いました。
「いるよ。黄太郎だ。あの男は本当に賢い。」
「じゃあ。オーンの夫は私に選ばせてもらいますよ。私は青太郎が気に入っているし、オーンも青太郎が好きですから。」
「あの男は若いし、賢くない。だめだ。オーンと結婚させない。」
「じゃあ、イムと黄太郎の結婚もさせません。いいですね。」
父親と母親は長い長い話し合いをしました。
そしてとうとう父親は、オーンと青太郎の結婚を許しました。
黄太郎とイムも結婚しました。
黄太郎と青太郎はイムとオーンの家に来ました。
そして、六人で暮らしていました。
ある日、父親は二人を連れて田んぼへ出かけました。
途中の川にペリカンがいました。父親は黄太郎に言いました。
「どうしてペリカンは水に浮く事が出来るのか。」
「それは、体中に羽が生えているからですよ。」
「うーん、なるほど、なるほど。ところで青太郎、お前はどう思う?」
と、父親は青太郎にも答えさせました。
「ペリカンは、もともと水に浮く鳥なんです。」
と、青太郎は答えました。
しばらく行くと、コウノトリが大きい声で鳴いていました。
父親は黄太郎に聞きました。
「コウノトリはどうして大きい声で鳴くのかね。」
「首が長いからです。」
と、黄太郎は答えました。
「うーん、なるほど、なるほど。青太郎、お前はどう思う?」
「元々大きい声で鳴く鳥なんです。」
と、青太郎は答えました。
三人は林の中を通りました。
林の外側の葉は赤く、内側の葉は緑色でした。
父親は、
「どうして外側の葉は赤いのか、内側の葉は緑色なのか。」
と、二人に聞きました。
「外側の葉は太陽の光を受けます。」
と、青太郎は答えました。
家に帰ると父親は、
「黄太郎は賢い男だ。だが、青太郎の答えはいつも同じだ。青太郎はマヌケだ。」
と、母親に言いました。
「どうしていつも同じ答えなんですか?」
と、母親は青太郎に言いました。
「『ペリカンは羽根が生えているから浮く。』、とお兄さんは言いました。
でも、ヤシの実は羽が一本も無いのに浮いています。
『コウノトリは首が長いから大きい声で鳴く。』
と、お兄さんは言いました。
でも、カエルは首が短いのに大きい声で鳴きます。
『林の外側の葉は太陽の光を受けるから赤い、内側の葉は太陽の光をあまり受けないから緑だ。』
と、お兄さんは言いました。
でも、スイカは外側は緑で内側は赤いです。
ですから、この世の中の物は全部元々そうなんだと思います。」
と、青太郎は答えました。
父親も母親も感心しました。
それから、家族はみんな仲良く暮らしましたとさ。
おしまい
この物語は、福娘童話集の読者 山本様からの投稿作品です。
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