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第 31話
マレーン姫
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※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
ある国の王子様が、
「マレーン姫、僕と結婚をしてください」
とマレーン姫という美しいお姫さまに結婚を申し込みました。
しかし、マレーン姫の父である王様は以前から姫が大きくなったら別の国に嫁がせようと考えていたので、
「そんなことは許さん! 立ち去れ」
と王子の申し出を断りました。
しかし、姫はその王子と次第に仲良くなり、
そのうち相思相愛になりました。
「マレーン姫、一緒に国の近くの花畑に遊びに行きませんか?」
「ええ、よろこんで!」
そのことを知った王様は酷く怒りました。
「ワシの言いつけも聞かずにあいつと仲良くするなど許せん! 罰としてお前を塔に閉じ込めてやる!」
そして姫を一人の侍女と七年分の食べ物と共に、太陽の光も月明かりも差し込まないレンガでできた真っ暗な塔の中へ閉じ込めたのでした。
それから七年の時が過ぎ、塔の食べ物がなくなってきました。
しかし、誰も姫と侍女を外に出そうとしません。
「お父様ー! 兵士達ー! 食料がなくなってきましたわ。ですから外に出してください」
「王様、もう食べ物がなくなろうとしています」
しかし、外からは返事がありません。
不審に思ったマレーン姫と侍女はナイフでレンガを削って穴を開け、
そこからレンガを壊し、塔から外に出ました。
しかし、マレーン姫と侍女が外に出た頃には、なんとマレーン姫の住んでた王国は隣の国との戦争に敗れて滅ぼされていたのです。
そして王様は行方が分からなくなってしまっていました。
行く当ての無くなった姫と侍女は放浪の旅に出ました。
しばらくして、旅で立ち寄ったある国で、
「そこの旅の者達、もし良かったらこのお城で下働きをしませんか?」
「ええ、分かりました。侍女もよろしいですか?」
「よろしいですよ、マレーン姫」
ということで、二人はお城の下働きとして雇ってもらえることになりました。
その国は、なんと姫と相思相愛の仲であったあの王子の国でした。
しかし、王子様は別の国から嫁いで来た女性と婚約していました。
そして、もうすぐ結婚式が行われるというのです。
王子様の婚約者は自分の顔立ちに自信がないため、白いベールをしたまま城に用意された部屋から一歩も外に出ませんでした。
ところが、婚礼の日が訪れ、教会へ行かなければならなくなったので困り果てた婚約者は、マレーンが婚約者の部屋に食事を運んだ時に、
「あなたが私の代わりに教会へ行ってきてちょうだい」
と代わりになるように言いました。
それをマレーン姫は引き受けることにしました。
そして、婚約者の代わりにマレーン姫は教会へ行きました。
そして行く先々で一人言のように、
「私は本当の花嫁ではありません」
とつぶやきました。
そのことを、疑問に思った王子様は、
「あなたは何のことを話しているのですか?」
とたずねました。
マレーン姫は王子様の問いに
「マレーン姫のことを考えていただけです」
と答えるだけでした。
王子は不思議に思いました。
(どうして彼女がマレーン姫のことを知っているのだろう?)
王子が考えているうちに婚礼は無事に終わり、マレーン姫は結婚の証として黄金の首飾りをもらいました。
その日の晩、王子は花嫁の部屋をたずねました。
「姫、これからの事について話したいことが………あれっ!?」
花嫁はベールで顔を隠していましたが、黄金の首飾りをしていなかっため婚礼に出たのが別人であったことがばれてしまいました。
「あの女、よくも婚約の時にあったことを黙っていたね! あの女を殺しなさい!」
花嫁はマレーン姫が金の首飾りの事を黙っていたのを恨み、家来にそう命じました。
マレーン姫が花嫁の家来に殺されそうになったところを王子様に救われました。
その首には、昼間の婚礼で授かった黄金の首飾りが輝いていました。
「お久しぶりです、王子様なら気付いてくれると思いました」
「マレーン姫、ようやく会えたね! これからはずっと僕と一緒にいてくれるかい?」
「はい、よろこんで!」
こうして、七年ぶりに再会した王子様とマレーン姫はめでたく結ばれました。
おしまい
このお話は、るるさんの投稿作品です。
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