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第 6話
すり
なにをしても、そそっかしい男が、上野(うえの)の山で、ぶらぶらと歩いていますと、どうやら、自分のふところを、すり(人混みなどで、他人の金品を抜き取るどろぼう →詳細)がつけねらっているようです。
「バカめ。そのぐらいで、すられるもんかい」
と、いって、ねんのため、自分のふところに手を入れてみますと、大切ながまぐち(さいふ)がありません。
「たいへんだー!」
男は、あわてて、すりをおいかけながら、
「もしもし、ただいまは、しつれいもうしあげました」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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