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 3月16日の世界の昔話
 
  イラスト myi   ブログ sorairoiro
 
 ほら吹き男爵 目からの火花で鉄砲を
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  わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
 今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。
 
 ある朝の事、ベッドから起きあがったわがはいは、部屋の空気を入れかえようと窓を開けて、
 
  「おおっ、こいつはすごい!」と、思わずうなった。
 
   窓から見える近くの湖に、数え切れないほどのカモの群れが集まっていたのだ。「よし、久しぶりにカモ狩りといくか」
 わがはいは鉄砲を取ると、飛ぶように階段を駆け下りたが、
 
  あまりにも急いでいたので、ゴチーン!
 と、戸口の柱に、おでこをしたたかぶつけてしまった。
 
  「あいたたたたっ」あまりの痛さに、目から火花が出たぞ。
 
 さて、池のほとりに着いたわがはいは、さっそくカモに狙いをつけたが、ここである事に気がついた。
 
  「しまった! 鉄砲の火打ち石がない!」わがはいにしては、なんというミスだ。
 おそらく、さっき柱にぶつかった時に、どこかへ飛ばしてしまったのだろう。
 「こいつは、弱ったな」
 いくら、わがはいが鉄砲の名人とはいえ、火打ち石がなくては鉄砲を撃つ事は出来ない。
 もちろん、今さら家へ取りに帰る時間もない。
 「どうしたものか。どこかに、わずかでも火があれば・・・」
 
   その瞬間、わがはいは、さっき目から飛び出した火花の事を思い出した。 
  「これだ!」わがはいはカモに狙いをつけると、げんこつで自分のおでこを力いっぱいなぐりつけた。
 
   そして目から飛び出す火花を利用して、わがはいは鉄砲を撃ったのだ。ズドーン!
 ズドーン!
 
   そのたびに、わがはいのおでこにはたんこぶが増えたが、おかげで十六羽のカモを仕留める事が出来たのだ。
 『利用出来る物は、何でも利用する』
 
   これが、今日の教訓だ。
 では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
 おしまい   
 
 
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