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第8話
おりこうハンス
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投稿者 「Dr シロネコ」
むかしむかし、ハンスという、ちょっとあたまのよわい若者がいました。
ある日、ハンスが出かけようとするので、お母さんがいいました。
「ハンスや、どこへ行くんだい?」
「グレーテルんとこ」
「ああ、こんどお嫁にくる娘だね。うまくおやりよ」
「大丈夫さ。じゃあな、おっかあ」
「がんばってね、ハンス」
ハンスはグレーテルの家へ行きました。
グレーテルはハンスに、何かいいものを持ってきてくれたかと聞きました。
「何もねえよ。それより、何かくれるもんないか?」
ハンスは、針を一本もらいました。
それを持ちかえる途中、干し草を積んだ車に刺(さ)して、その車の後について家に帰りました。
ハンスは、お母さんにそのことをいうと、
「ばかだね、ハンス。針は袖(そで)に刺しておくものだよ」
「今度はうまくやるさ」
またハンスは、グレーテルの家へ行きました。
今度は、ナイフをくれました。
ハンスは帰り道、ナイフを袖に刺して帰りました。
そのために、服がボロボロになりました。
「ばかだね、ハンス。ナイフは袋(ふくろ)へ入れておくものさ」
またハンスは、グレーテルの家へ行きました。
今度は、ヤギをくれました。
ハンスはヤギを袋に入れて、持ち帰りました。
袋に入れられたヤギは、息が出来ずに死んでしまいました。
「ばかだね、ハンス。ヤギは綱(つな)へつなぐものだよ」
またハンスはグレーテルの家へ行き、今度はブタの脂身(あぶらみ)をもらいました。
ハンスはそれを、綱につないで帰ります。
そのため、後ろからきたイヌたちに食べられてしまいました。
「ばかだね、ハンス。脂身は頭に乗っけるんだよ」
次にハンスは、グレーテルからもらった子ウシを頭に乗せました。
子ウシはハンスの頭をふみつけると、どこかへ逃げてしまいました。
「ばかだね、ハンス。子ウシは首を綱でしばって、飼葉(かいば)の前に立たせておくものだよ」
今度はグレーテル自身が、ハンスの家にもらわれることになりました。
ハンスはグレーテルを飼葉の前に立たせると、首を綱でしばって、柱にくくりつけてしまいました。
「ばかだね、ハンス。あの娘にはやさしい目を投げつけてやるものさ」
ハンスは家畜小屋(かちくごや)に行って、ありったけの子ウシやヒツジの目玉をくり抜きました。
そしてその目玉を、立たされたままでいるグレーテルの顔にたたきつけました。
グレーテルは腹を立てて逃げだすと、ハンスのお嫁さんになることを取り消してしまいました。
・・・なんなんでしょう、このお話しは。
おしまい
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