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第216話
魔法の壺
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むかしむかし、貧乏な男が畑を耕していると、カキンと固い物がクワにあたりました。
「おや、何だろう? もしかして金か?」
男がそれを掘り出してみると、それは大きな壺でした。
「何だ壺か。まあいい、何かを入れるのに使えるだろう」
男は壺を家に持って帰ると、おかみさんに洗うように言いました。
おかみさんが壺の中をたわしでゴシゴシ洗っていると、不思議な事に壺の中がたわしでいっぱいになりました。
「おや! これはどういう事だい?」
おかみさんから話を聞いた男は、壺の中のたわしを取り出しました。
するとさらに不思議な事に、たわしは取り出しても取り出してもなくならないのです。
「こいつは驚いた! これは中に魔法の壺に違いない」
貧乏な男は壺から取り出したたわしを売って、少しだけお金持ちになる事が出来ました。
そんなある日、男は良い事を思いつきました。
「たわしではなく、お金を入れてみたらどうだろう」
男はさっそく、壺の中にお金を1枚入れてみました。
♪チャリーン
するとお金は壺の中でどんどん増えていきます。
♪チャリーン、チャリーン、チャリチャリチャリーン
「思った通りだ!」
壺から出てくるお金で、男は大金持ちになりました。
大金持ちになるまでは、壺からたわしやお金を取り出すのは男の仕事でしたが、大金持ちになった男は壺から取り出す仕事が邪魔くさくなって、年老いたおじいさんにその仕事をさせる事にしました。
年老いたおじいさんは手足がブルブルと震えているので、壺からお金をうまく取り出すことが出来ません。
それを見た男は、おじいさんを怒鳴りつけました。
「こらっ! もっと早く金を取り出せ! ぐずぐすしていると、飯を食わせないぞ!」
男はそう言いながら、おじいさんの背中を蹴りつけました。
するとおじいさんはバランスを崩して、かめの中に落ちて死んでしまいました。
「しまった!」
死んだおじいさんが壺の中でどんどん増えて、壺からあふれ出ました。
大金持ちになった男は死んだたくさんのおじいさんのお葬式を出すことになり、どんどんお金を使いました。
そして、壺を手に入れる前ぐらい貧乏になったとき、壺は自然にパックリと割れて、死んだおじいさんが増えるのが止まりました。
おしまい
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