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第218話

恩知らずの息子

恩知らずの息子
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 むかし、けちな男とそのおかみさん、そして男の年老いたお父さんの三人で暮している家がありました。
 今日の晩ご飯は、ニワトリの丸焼きです。
 けちな男とおかみさんは、ニワトリの丸焼きを二人だけで食べようとしました。
 するとそこへ、年老いた男のお父さんがやって来たのです。
 男とおかみさんはお父さんが来たのを知ると、ニワトリの丸焼きを素早く隠しました。
 男とおかみさんは、一緒に暮しているお父さんにはニワトリを少しも分けないつもりです。
 年老いたお父さんが、息子とそのおかみさんに尋ねました。
「何やらいい匂いがしていたが、そろそろ晩ご飯かい?」
 すると男は、年老いたお父さんをにらみながら言いました。
「今日の晩ご飯は、そこにある水だけだ! 腹が空いたのなら、川でヒキガエルでも捕まえるがいい!」
「・・・そうか」
 年老いたお父さんは悲しそうにうなだれると、テーブルに置いてある水をひと口飲んで行ってしまいました。

 年老いたお父さんが出て行くと、男は焼いたニワトリをテーブルの上に乗せました。
「さあ、食べようか」
 するとその時、ニワトリは大きなヒキガエルに化けて、男の顔へ飛びついて離れなくなりました。
 おかみさんがヒキガエルを男から引き離そうとしましたが、ヒキガエルがおかみさんを怖い顔でにらむので、おかみさんは怖くてヒキガエルに近寄る事も出来ません。
 男は泣きながら、神さまに祈りました。
「私が悪かったです。
 これからは家族三人、平等に食べ物を分けます。
 親をのけ者にした恩知らずな息子を、どうかお許しください!」
 するとヒキガエルは男の顔から離れて、元のニワトリの丸焼きに戻りました。
 男とおかみさんはすぐに年老いたお父さんを呼び戻すと、自分たちだけでニワトリを食べようとした事を謝り、三人でニワトリを食べる事にしました。

 それからも男は神さまへの約束を守って、何でも家族三人で平等に分ける様になりました。

おしまい

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