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第228話

ドクロの呪い アメリカの昔話

ドクロの呪い
アメリカの昔話アメリカの情報

 むかしむかし、森の中を散歩していた男が、木の枝に吊したロープの輪に丸い何かが引っかかっているのを見つけました。
「何だ? 木の実か?」
 男が近寄ってみると、それは木の実ではなく人間の頭蓋骨、ドクロだったのです。
 誰かに吊し首にされたのか、自分で首を吊ったのかは分かりません。
 ロープに引っかかっているのはドクロだけで、残りの骨は地面に散らばっていました。
 死んだ後に体が腐って、首から下は重みで落ちてしまったのでしょう。
 男はドクロを見ても怖がるどころか、馬鹿にしたように言いました。
「おかしな顔だ。生きている時はブサイクだったに違いない。」
 男はドクロをながめて大笑いすると、ドクロを残りの骨の中に投げつけました。
「お前さん、気が向いたらおれの家へ来いよ。晩飯を食わせてやるよ」
 そう言って男は大笑いしながら家に帰りましたが、不思議な事に家に帰っても大笑いが止まりません。
 それと言うのも、死んだ人を馬鹿にしたため、いつまでも笑いが止まらない呪いを受けてしまったのです。

 いつまでも笑い続ける男に、奥さんや子ども達が心配して尋ねました。
「お前さん、いったいどうしたんだい? 何か大変な目にあったのかい?」
 奥さんの問いに男は答えようとしますが、ずっと笑っているため、うまくしゃべる事が出来ません。

 やがて晩御飯の時間になりました。
 晩御飯が並べられたテーブルに座った男は、ふと前を見て、笑いながら顔を真っ青にしました。
 男は笑いながらも、恐ろしそうに体をブルブルと震わせます。
 何とテーブルの前にあの時のドクロがいて、骨だけの体で晩御飯を美味しそうに食べていたのです。
 男は笑いながら悲鳴を上げてドクロを指さしますが、奥さんも子ども達も不思議な顔をしています。
 どうやらドクロの姿は、男の目にしか見えないようです。
 男は部屋を飛び出すと、ベットに潜り込んでガタガタと震えました。
 男を追いかけてきた奥さんが、ベットの中で震える男に言いました。
「何があったのです? わけを話してください。しゃべる事が出来ないのなら、文字に書いて下さい」
 奥さんが紙とペンを差し出すと、男は今日あった出来事を震える手で書き記しました。
 それを読んだ奥さんは、天に向かって手を合わせました。
「ああ神さま。どうかこの人をお許し下さい」
 奥さんは男にここで待っている様に伝えると、スコップを持ってドクロがある森に向かいました。
 そしてドクロを見つけると、ドクロに手を合わせて言いました。
「死人さん。わたしの夫が大変失礼な事をしました。今からあなたのお墓を作るので、どうか夫を許して下さい」
 奥さんは持ってきたスコップで地面を掘って、ドクロのお墓を作ってあげました。

 奥さんが家に帰ると、男の笑いが止まっていました。
 奥さんはドクロのお墓を作ったので、ドクロの呪いが消えたのです。
 それから男は改心して思いやりのある人になって、家族と幸せに暮しました。

おしまい

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