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姥ヶ火(うばがび)



姥ヶ火(うばがび)
百物語

オリジナル版

 むかしむかし、河内(かわち→大阪府)の枚岡神社では、一晩中、灯籠(とうろう)に明かりをともしていました。
 ところがその灯籠の明かりが、真夜中になると消えてしまう事が何度もあったのです。
「これは、山の動物が油をなめに来るからではないだろうか?」
 神主たちはそう思い、その晩から見張りをする事にしました。

 その日の真夜中、神主たちが弓やなぎなたを手に灯籠を見張っていると、どこからともなく白髪の老婆が目をギラギラと光らせながら現れました。
(あっ、あれは山姥に違いない!)
 神主たちは弓矢を構えると、油のつぼをかかえて逃げ出す山姥に矢を放ちました。
 放った矢には鋭い刃が付いていたので、山姥の首はスパッと切れると、空高く舞い上がりました。
「やった! 山姥を倒したぞ!」
 神主たちが喜んだのもつかの間、何と空高く舞い上がった山姥の首が、口から炎を吹き出しながら神主たちに襲いかかったのです。
「うわーっ! 逃げろーっ!」
 神主たちは何とか社に逃げ込むと、内側から鍵を閉めました。
 山姥の首は一晩中社の周りを飛び回っていましたが、やがて力尽きたのか、夜明け前には動かなくなりました。

 朝日が登ってから社を出た神主たちが山姥の死体を調べてみると、それは村に住む年寄りだとわかりました。
 今では百才近い老婆ですが、若い時はたいそう美人で、
「結婚してください」
「ぜひとも、家の嫁に」
と、多くの男たちが奪い合うほどだったのです。
 ですが不思議な事に結婚した相手は次々と死んでしまい、十人目の夫が死んだ時から、ずっと一人暮しをしていました。
 そして糸つむぎだけを唯一の楽しみに生きていたのですが、年を取って目がおとろえ、暗いいろりの明かりだけでは糸がつむげなくなりました。
 そこで明かりを得る為に、神社の灯籠から油を盗むようになったのです。
 考えてみれば可哀想な話ですが、神社での出来事を知った村人たちは老婆をけなしました。
「よりにもよって、神社から油を盗むなんて。罰当たりな事をしたのだから、死んで当然だ」
 そして死んだ老婆の供養もせずに、野ざらしにして野犬やカラスのエサにしたのです。

 それからしばらくたったある日、あの老婆の首が化物となって現れました。
 老婆の首は口から火を噴きながら村中を飛び回り、老婆の悪口を言った男の家を焼き払うと、どこかへ消えていったと言う事です。

 枚岡神社について (玄松子の記憶より)

おしまい

この作品は、読者からの投稿作品です。


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