福娘童話集 > 東日本巨大地震復興企画「がんばれ まけるな」
人食いザメとお坊さん医者
岩手県の民話
むかしむかし、あるところに、
みんなからお坊さん医者とよばれている男がいました。
ある日、お坊さん医者が、わたし船に乗ったときのこと。
きゅうに船が動かなくなりました。
「おい、船頭どうした?」
船頭さんは言いました。
「実は、このあたりにはおそろしい人食いザメがいて、気に入った人を見つけるとこうして船を止めるのじゃ。
すまんが、お客さんたちの持っている手ぬぐいを海へ投げてくれ。」
みんなはしかたなく、手ぬぐいを海に投げました。
すると、お坊さん医者の手ぬぐいだけが、しずんでしまいました。
それを見て、お坊さん医者は、
「わたしは僧で医者、人をたすけるのが仕事です。」
と、言うなり、海へ飛び込んだのです。
人食いザメは持っていた薬箱ごと、お坊さん医者を飲み込みました。
そのお坊さん医者は、薬箱を開けると、にがい薬をあたりかまわず、
人食いザメにぬりつけました。
人食いザメは、あまりのにがさにがまんができずに、お坊さん医者をはき出しました。
それを見た船頭さんはあわててお坊さん医者を船に引きあげました。
「よかった。よかった」「よし、お祝いだ」
浜辺にもどった船頭さんが、さっそく酒もりの用意をして、おどりながらうたったとさ。
おしまい
→ 福娘童話集版 人食いザメとお坊さん医者
※ この昔話について。
このむかし話は東日本大地震に被災された方々への心の復興をお手伝いするために、三重県鳥羽市の鳥羽水族館様のご厚意により、鳥羽水族館でのイベント
「鳥羽水族館で昔話」2011年3月19日(土)〜4月24日(日)
で、公開しているお話しをご提供いただいたものです。
ダウンロードされたお話しは、プリンターで印刷も可能です。
お話しは、全て鳥羽水族館にいる生き物に関する昔話です。
このお話しを読んで、鳥羽水族館へ遊びに行った気分をご体験ください。
→ 鳥羽水族館公式ページ
→ 「鳥羽水族館で昔話」のイベントページ
鳥羽水族館について。
通路全長1.5kmの広い館内は生息する環境に合わせ12のゾーンに分かれ、観覧順序がなく自由通路となっているのが大きな特徴のひとつ。
好きなところから気の向くまま観覧したり、興味のある生きものをじっくり観察したりと、思いのままに楽しんでいただけます。
飼育種類数は約1,000種2万5千点と国内最大級の規模を誇り、多くの美しい魚たちやアフリカマナティーやラッコ、スナメリといった人気の動物たちが皆様をお迎え致します。
中でも人魚伝説のモデルとも言われるジュゴンを飼育しているのは日本でここだけ。
メスのセレナがアオウミガメのカメ吉と仲良く泳ぐ様子がご覧いただけます。
また毎日開催している各種のショーでは、アシカやセイウチたちとトレーナーが息の合ったパフォーマンスを披露し、動物たちもお楽しみ?!の「お食事タイム」ではラッコのジャンプや、岩からの大きなトドのダイビングなど普段と違った行動も観察できるので必見です。
さらに2010年には館内の水槽を計14本リニューアル。
水槽の面積を広げて足元から水槽を見られるなど様々な工夫を凝らし、他では見られない鳥羽水族館独自の新しい展示を目指しています。
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