救いの手東日本巨大地震復興企画 「がんばれ まけるな」 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集


福娘童話集 > 東日本巨大地震復興企画「がんばれ まけるな」

招き猫になった猫

 むかしむかし、江戸の上野の山の下にある乾物屋(かんぶつや)で飼われているネコが、たった一匹、子ネコを生みました。
 その子ネコというのが、何と人間が怒った顔そっくりだったのです。

 何日かすると、乾物屋の主人は、
「何とも気味が悪い。まるで人を恨んでおるような顔じゃ。これでは客も怖がって、店に来なくなる。そんなネコ、早くどこかへ捨ててこい」
と、店の若い者に、お寺の多い寺町に捨てに行かせました。

 店の若い男は子ネコをふところに入れると、大きな池のほとりを歩いて寺町に向かいました。
「ニャー」
 途中でお腹が空いたのか、子ネコが鳴き始めました。
「これ、鳴くのを止めないか」
 店の若い男は、叱ろうとしてふところを開きました。
 すると子ネコはいきなり飛び上がって、喉元に小さな口を押し当ててきたのです。
 子ネコは、おっぱいを探していたのですが、それを噛みついて来たと勘違いした店の若い男は、
「わあー! 何だこいつ!」
と、大声を上げて、子ネコを振り落としました。

 男の叫び声を聞いて、池のほとりにある茶屋のおじいさんが飛び出してきました。
「何じゃ。一体何事だ」
 茶屋のおじいさんは、若い男から子ネコの話を聞くと、
「そんな事で捨てられるとは、何と可愛そうな事を。
 まあ、確かに少し変わった顔をしておるが、よく見れば可愛いじゃないか。
 よし、わしが飼ってやるから、置いて行きなさい」
と、言って、その子ネコを茶屋で飼う事にしたのです。

 さて、それからはこの子ネコの顔が変わっているというので、わざわざ遠くから茶屋に見に来る人が増えてきました。
 子ネコはお客さんを招いてくれる『招きネコ』となって、池のほとりにあるおじいさんの茶屋を繁盛させたという事です。

おしまい

※ メッセージ。

 被災された皆さまへ。

 大震災の被害を受けられた皆さまに、つつしんでお見舞い申し上げます。

 また、いっこくも早く復興されますよう、心からお祈り申し上げます。

前のページへ戻る

福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識