6月13日のイソップ童話
闘犬とふつうのイヌ
ある家にかわれているイヌが、猛獣とたたかうように訓練されていました。
ある日、たくさんの猛獣が勢ぞろいしているのを見たこのイヌは、首輪をひきちぎって町に逃げだしました。
まるで牛のようにたくましい闘犬が逃げてくるのを、ほかのイヌたちが見て、
「きみは、なぜ逃げてきたの」
と、たずねますと、闘犬は、
「たしかにぼくは、毎日腹いっぱい、うまいものを食って、ぜいたくにくらしているよ。だけど、ライオンだのクマだのをあいてに、たたかわされるのだから、いつだって、こんどは死ぬか、こんどは死ぬかと、おそろしくてしかたがないんだ」
これを聞いて、ふつうのイヌたちはおたがいに、
「ぼくたちは貧乏(びんぼう)だけど、しあわせなんだなあ。ライオンやクマなんかと、たたかわずにすむんだから」
と、いいあいました。
ぜいたくなくらしをしていても、大変な毎日をおくるよりは、貧乏でも、のんびりとした毎日をおくるほうがしあわせだと、このお話しは教えています。
おしまい
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