11月14日のイソップ童話
コウモリとイタチ
コウモリが地面に落ちて、イタチにつかまってしまいました。
殺されるに決まっていると思ったコウモリは、
「どうか、命だけは助けて下さい」
と、たのみました。
イタチは、
「だめだね。あんたを放すわけにはいかないよ。なぜって、わたしは生まれつき、鳥はぜんぶ敵だと思っているからね」
「おや、よく見て下さい。わたしは鳥ではありません。ネズミですよ」
コウモリはつばさをたたむと、ネズミによく似ています。
こうしてコウモリは、うまく命びろいしました。
しばらくして、このコウモリはまた地面に落ちて、別のイタチにつかまってしまいました。
「お願いです。わたしを食い殺さないで下さい」
「いやだよ。わたしはネズミというネズミが、ぜんぶきらいだから」
コウモリは、つばさをひろげると、
「おや、わたしはネズミなんかではありませんよ。ごらんのとおり、鳥ですよ」
コウモリは、こんどもまた、はなしてもらいました。
こうしてコウモリは、名まえを変えることで二度も命びろいしたのです。
このお話しのように、危険をまぬがれるためには、その時その時のなりゆきによって、いろいろと工夫することが大切です。
おしまい
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