2月25日の日本の昔話
カニにまけたネコ
むかしむかし、一ぴきのネコが、川のそばの道を急いでいたら、カニがのっそり、のっそり歩いていました。
「じゃまだ、じゃまだ。早く歩かないとふみつぶすぞ!」
ネコがイライラしてどなります。
するとカニが、ハサミをふりあげて言いました。
「早く歩こうが、おそく歩こうが、おらの勝手(かって)だ!」
「なに、足がおそいくせに、えらそうなことを言うな!」
「さて、どっちの足がおそいか、くらべてみなくちゃわからない」
「なんだと、おまえがわしより足が早いと言うのか」
ネコは、すっかり腹をたて、
「よし、そんなら、向こうの森までかけくらべをしよう」
「いいとも!」
カニも負けずに言いかえしました。
ネコは、カニをばかにして、
(ふん、カニがいくらよこばしりしたところで、わしにかなうわけがない。ゆっくりかけていくか)
と、思いましたが、足の早いところを見せつけたくて、サッとしっぽをふりあげます。
そのとたん、カニはネコのしっぽにとびつきました。
ネコはそれに気づかず、いっきにかけだして、あっというまに約束の森へついてしまいました。
「ふん、どんなもんだい」
と、言わんばかりに、後をふり向きますが、カニの姿は見えません。
「ばかなやつめ。ここへやってきたら、ほんとにふみつぶしてやるから」
すると、ネコのしっぽにつかまっていたカニが、ヒョイととびおり、後ろから声をかけました。
「なにをえらそうな。おら、さっきから待っていたぞ」
ネコがビックリして、後ろを見たら、なんとカニがいるではありませんか。
「あっ、ばかな! おまえ、いつのまに」
ネコはあわてました。
いくら考えても信じられません。
「だから、言わんこっちゃない。おらにくらべたら、ネコの足なんて、カメよりおそいくらいだ」
「くっ・・・」
なんと言われようと、ネコには言いかえすことばもありません。
「わかったら、頭をさげてあやまれ!」
カニがいばって言うと、ネコはしかたなく、頭をさげ、
「カニどんの足が、そんなに早いとは知りませんでした。それなのにえらそうなことを言って、まことに申しわけない」
と、しぶしぶあやまりました。
それからというもの、ネコはカニの姿を見かけると、カニが横切るまで、ジッと待つことにしたそうです。
おしまい
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