きょうの日本昔話
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5月16日の日本の昔話

はかばへいくむすめ

はかばへいくむすめ

 むかしむかし、あるいなかに、たいそうな長者(ちょうじゃ→詳細)がいました。
 長者には、きれいなひとりむすめがいて、もうとしごろです。
 そこで、むこさんをとることになりました。
 すると、うわさがすぐにひろがって、
「よし、じぶんこそが、むこさんになろう」
と、むこさんの希望者(きぽうしゃ)が、おおぜいくるようになりました。
 ところが、つぎの朝には、
「あんなおそろしいむすめのむこになるなんて、とんでもないこった」
 だれもが、にげだしてしまうのです。
 この話を耳にした旅の男が、
「これは、なにかわけがありそうだ。おもしろい。べつに、むすめのむこにはきょうみはないが、それをつきとめてやろう」
と、長者のやしきをたずねました。
 男はひとりもので、なかなかの男まえです。
 そのうえ、とてもどきょうがあります。
「わしのむすめのむこになりたいとは、ありがたい。しかし、むすめにはへんなくせがありましてな。真夜中(まよなか)に、どこへともなくでかけていくのです。むすめがどこへいって、なにをしているのか、それをみとどけてくれたなら、おまえさんをむこにむかえましょう」
「わかりました」
 長者の話に、男はうなずきました。
 さて、そのばんの真夜中。
 男がむすめのへやのようすを、それとなくうかがっていると、むすめがロウソクを手に、白いきものすがたであらわれました。
 長いかみをふりみだして、うらにわのほうへとでていきます。
 まるでゆうれいのようでしたが、男はきもちをおちつけると、むすめのあとをつけていきました。
 むすめがやってきたのは、なんと、はかばでした。
「はて。いったい、なにをするつもりだろう」
 男がものかげからのぞいていると、むすめはクワでかんおけをほりだして、ふたをあけました。
 そして、かんおけの中にあった、死んだ人のほねをポキンとおって、ポリポリとうまそうにたべはじめたではありませんか。
 ふつうの男なら、「ギャーッ!」とさけんでにげだすか、こしをぬかしてしまうところですが、男はどきょうをすえて、じっくりとかんさつしました。
 むすめは、死んだ人のほねをうまそうにたべると、ニンマリと口のまわりをなめながら、やしきのほうにもどっていきました。
 男はむすめがいなくなると、かんおけにかけよって、中をしらべます。
 かんおけには、むすめがたべのこしたほねがちらばっていました。
 そのほねを手にとってしらべると、フンワリとあまいにおいがします。
「これは、もしや」
 口に入れてみると、あまいアメではありませんか。
「よし、長者にもっていってやろう」
 男はほねのかたちにつくられたアメをもって、長者のやしきへもどると、さっそく、みてきたとおりのことをはなしました。
「これが、そのアメです。おたべください」
「いや、たべんでもわかっておる。わしがむすめとそうだんして、アメ屋につくらせたアメじゃからな。わしらは、このやしきのむこにふさわしい、どんなことにもおどろかん、きもちのおちついた男をさがそうと、どきょうだめしをさせてもらったんじゃ。おまえさんほどの男はいない。どうか、むこになっていただきたい」
「いえ、わたしはべつに、むこには・・・」
 男がことわろうとするのも聞かず、長者はむすめをよびました。
 すると、きれいなきものをきたむすめがあらわれ、
「すえながく、おねがいいたします」
と、おじぎをしました。
「あっ、その、・・・はい。こちらこそ」
 あくる日、男とむすめは、三々九どのさかずき(結婚のぎしき)をかわして結婚し、しあわせにくらしたそうです。

おしまい

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