きょうの日本昔話
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7月1日の日本の昔話

浦島太郎

浦島太郎

 むかしむかし、ある村に、心のやさしい浦島太郎(うらしまたろう)という若者がいました。
 浦島(うらしま)さんが海辺を通りかかると、子どもたちが大きなカメをつかまえていました。
 そばによって見てみると、子どもたちがみんなでカメをいじめています。
「おやおや、かわいそうに、はなしておやりよ」
「いやだよ。おらたちが、やっとつかまえたんだもの」
 見るとカメは涙をハラハラとこぼしながら、浦島さんを見つめています。
 浦島さんはお金を取り出すと、子どもたちに差し出して言いました。
「それでは、このお金をあげるから、おじさんにカメを売っておくれ」
「うん、それならいいよ」
 浦島さんは、子どもたちからカメを受け取ると、
「もう、つかまるんじゃないよ」
と、カメをそっと、海の中へ逃がしてやりました。
 さて、それから二、三日たったある日、浦島さんが海に出かけて魚をつっていると、
「浦島さん、・・・浦島さん」
と、だれかが呼ぶ声がします。
「おや? だれが呼んでいるのだろう?」
「わたしですよ」
 すると海の上に、ひょっこりとカメが頭を出して言いました。
「このあいだは、ありがとうございました」
「ああ、あのときのカメさんかい」
「はい、おかげで命が助かりました。ところで浦島さんは、竜宮(りゅうぐう)へ行ったことがありますか?」
「竜宮? さあ? 竜宮って、どこにあるんだい?」
「海の底です」
「えっ? 海の底へなんか、行けるのかい?」
「はい。わたしがお連れしましょう。さあ、背中へ乗ってください」
 カメは浦島さんを背中に乗せて、海の中をずんずんともぐっていきました。
 まっ青な光の中で、コンブがユラユラ。
 赤やピンクのサンゴの林が、どこまでも続いています。
「わあ、きれいだな」
 浦島さんがウットリしていると、やがて立派なご殿(てん)へつきました。
「着きましたよ。このご殿が竜宮です。さあ、こちらへ」
 カメに案内されるまま進んでいくと、この竜宮の主人の美しい乙姫(おとひめ)さまが、色とりどりの魚たちと一緒に浦島さんを出迎えてくれました。
「ようこそ、浦島さん。わたしは、この竜宮の主人の乙姫です。このあいだはカメを助けてくださって、ありがとうございます。お礼に、竜宮をご案内します。どうぞ、ゆっくりしていってくださいね」
 浦島さんは、竜宮の広間ヘ案内されました。
 浦島さんはが用意された席に座ると、魚たちが次から次へと、見たことがないようなごちそうを運んできます。
 ふんわりと気持ちのよい音楽が流れて、タイやヒラメやクラゲたちの、みごとな踊りが続きます。
 ここはまるで、天国のようです。
 そして、
「もう一日、もう一日」
と、乙姫さまにいわれるまま竜宮ですごすうちに、三年の月日がたってしまいました。
 浦島さんは、はっと思い出しました。
(家族や友だちは、どうしているだろう?)
 そこで浦島さんは、乙姫さまに言いました。
「乙姫さま、いままでありがとうございます。ですが、もうそろそろ、家へ帰らせていただきます」
「帰られるのですか? よければ、このままここで暮しては」
「いいえ、わたしの帰りを待つ者もおりますので」
 すると乙姫さまは、さびしそうに言いました。
「・・・そうですか。それはおなごりおしいです。では、おみやげに玉手箱(たまてばこ)を差し上げましょう」
「玉手箱?」
「はい。この中には、浦島さんが竜宮で過ごされた『時』が入っております。これを開けずに持っている限り、浦島さんは年を取りません。ずーっと、今の若い姿のままでいられます。ですが開けてしまうと、『時』がもどってしまいますので、決して開けてはなりませんよ」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
 乙姫さまと別れた浦島さんは、またカメに送られて地上へ帰りました。
 地上にもどった浦島さんは、まわりを見回してびっくり。
「おや? わずか三年で、ずいぶんと様子がかわったな」
 たしかにここは、浦島さんがつりをしていた場所なのですが、なんだか様子がちがいます。
 浦島さんの家は、どこにも見あたりませんし、出会う人も知らない人ばかりです。
「わたしの家は、どうなったのだろう? みんなはどこかへ、引っ越したのだろうか? ・・・あの、すみません。浦島の家を知りませんか?」
 浦島さんが一人の老人にたずねてみると、老人は少し首をかしげて言いました。
「浦島? ・・・ああ、たしか浦島という人なら、七百年ほど前に海へ出たきりで、帰らないそうですよ」
「えっ!?」
 老人の話しを聞いて、浦島さんはびっくり。
 竜宮の三年は、この世の七百年にあたるのでしょうか?
「家族も友だちも、みんな死んでしまったのか・・・」
 がっくりと肩を落とした浦島さんは、ふと、持っていた玉手箱を見つめました。
「そういえば、乙姫さまは言っていたな。この玉手箱を開けると、『時』がもどってしまうと。・・・もしかしてこれを開けると、自分が暮らしていた時に戻るのでは」
 そう思った浦島さんは、開けてはいけないと言われていた玉手箱を開けてしまいました。

うらしまたろう

 モクモクモク・・・。
 すると中から、まっ白のけむりが出てきました。
「おおっ、これは」
 けむりの中に、竜宮や美しい乙姫さまの姿がうつりました。
 そして楽しかった竜宮での三年が、次から次へとうつし出されます。
「ああ、わたしは、竜宮へ戻ってきたんだ」
 浦島さんは喜びました。
 でも、玉手箱から出てきたけむりは次第に薄れていき、その場に残ったのは、髪の毛もひげもまっ白の、ヨポヨポのおじいさんになった浦島さんだけでした。

おしまい

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