12月28日の日本の昔話
豆つぶころころ
むかしむかし、あるところに、正直ではたらきもののおじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日、おばあさんが家の中のそうじをしていると、豆が一つぶころげ落ち、かまどに入ってしまいました。
「やれやれ、一つぶの豆でもそまつにはできん」
おじいさんは、そう思って、かまどの中をかきまわしました。
すると、かまどのそこにポッカリとあながあいて、おじいさんはあなの中へ、コロコロコロと、ころげ落ちてしまいました。
「あいたた!」
おしりをさすりながらふと見ると、そばにおじぞう(→詳細)さまが立っています。
「じぞうさま、じぞうさま、豆を知りませんか?」
「豆なら、わしが食ろうたよ」
「それならよかった。豆がむだにならずによかった」
おじいさんがもどろうとしますと、おじぞうさまはいいました。
「一つぶの豆でも、おれいをせんとな。この先をいくと、赤いしょうじの家があるから、米つきをてつだえ。またその先には、黒いしょうじの家があるから、天じょううらにのぼって、ニワトリのまねをせい。きっといいことがあるぞ」
おじいさんは教えられたとおりに、あなの中を歩いていきました。
しばらくいくと、赤いしょうじの家があって、おおぜいのネズミたちが、嫁入りじたくのまっさいちゅうです。
♪ニャーという声、聞きたくないぞ。
♪ニャーという声、聞きたくないぞ。
と、歌いながら、米をついていました。
「おめでとうさんで、米つきをてつだいましょう」
おじいさんは心をこめて、いっしょうけんめい米をついてやりました。
ネズミたちは大よろこびで、おじいさんに赤い着物をくれました。
またしばらくいくと、がけの上に、黒いしょうじの家がありました。
その家の中では、おおぜいの鬼どもが金銀をつんで、花札ばくちをしていました。
おじいさんはこわいのをガマンして、天じょううらにのぼって、大声でさけびました。
「コケコッコー! 一番どりだぞー! コケコッコー! 二番どりだぞー! コケコッコー! 三番どりだぞー!」
「うわあ! 朝だ、朝だ!」
鬼どもは、あわててにげだしてしまいました。
あとには、金銀財宝の山がのこりました。
おじいさんが、そのお宝を持って帰ると、おばあさんは大よろこびです。
この話をぬすみ聞きしていたのは、となりに住む、よくばりなおじいさんとおばあさんでした。
「こりゃあ、いいことを聞いたぞ」
よくばりなおじいさんは、ザルにいっぱい豆を入れ、となりの家へやってくると、いきなりかまどの中へ、豆をザーッとぶちまけてしまいました。
「おらもいってくるで!」
そういうと、かまどのそこの穴の中へ飛び込みました。
「どれ。じぞうさまは、じぞうさまはと、・・・あっ、いた、いた。これ、じぞうさま、おらの豆を食うたじゃろう! いまさら返そうたってだめじゃい、おれいはどうした、おれいは!」
えらいけんまくでどなられて、おじぞうさまはしかたなく、さっきと同じことを教えました。
そこでおじいさんは、ドンドン進んでネズミの家につきました。
♪ニャーという声、聞きたくないぞ。
♪ニャーという声、聞きたくないぞ。
「ははあ、ここだな。ようし、おどかして、ネズミのたからものをとってやれ」
「ニャーオ、ニャーオ!」
ネズミたちはビックリして、米つきのきねをおじいさんに投げつけました。
「あいた、た、た。やめろ、やめろ!」
おじいさんはなんとかにげだして、こんどは鬼どもの家へ来ました。
ところが、鬼たちがあんまりこわかったので、ブルブルふるえながらいいました。
「一番どり〜! 二番どり〜! 三番どり〜! ・・・あわわわ」
「なんじゃ、こいつは? さては、わしらのたからをぬすんだのは、こいつだな!」
おこった鬼どもは、よくばりおじいさんをつかまえ、じごくへつながる谷底へ、けとばしてしまいました。
おしまい
きょうの「366日への旅」
記念日検索
きょうは何の日?
誕生花検索
きょうの誕生花
誕生日検索
きょうの誕生日
福娘童話集
きょうの世界昔話
福娘童話集
きょうのイソップ童話
福娘童話集
きょうの小話