きょうの江戸小話
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5月2日の小話

日本のすずめ

日本のすずめ

 お城ヘ出入りの商人が、中国からわたってきたすずめを手に入れました。
 ぜんぶで六羽います。
 たいへんめずらしいので、お殿さまに献上(けんじょう→さしあげること)することになりました。
 ところが、このお殿さまは、とてもえんぎをかつぐお方。
 めでたい数でないと、およろこびになりません。
「まずいな。七・五・三のどれかでないと、まずい。いくらかぞえてみても、・・・やれやれ、六羽しかおらんわ」
 商人は、しばらく考えておりましたが、
「ええ、ままよ」
と、日本のすずめを一羽まぜ、七羽にして、殿さまに献上いたしました。
「おお、これはめずらしい」
 殿さまは、たいヘんごきげんで、一羽一羽、念入り(ねんいり)にごらんになっていましたが、
「はて、中国のすずめともうしながら、日本のすずめが一羽まじっておるぞ。どうしたことじゃ」
 たずねられましたが、商人は返事ができず、ふるえておりました。
 すると、日本のすずめが小さな口をあけてもうしました。
「お殿さま。わたくしは、通訳(つうやく)でございます」

おしまい

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