きょうの江戸小話
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6月24日の小話

早業

早業

《剣術指南(けんじゅつしなん→剣術を教えること →詳細)》と、大きなかんばんをかかげた家で、弟子のひとりが、先生にきいておりました。
「先生、このあいだ、試合(しあい)にきた者がいましたな。先生のこと、むろん、さんざんに、うちのめしてやったのでしょうな」
「うむ。まだまだ下手なやつであったので、試合に立ちあうのはやめようとおもったが、ひきょう者などといわれると、いやであるから、いやいや立ちあったわい」
「ほう、そして、どのように立ちあわれました? くわしくききたいものですな」
「それならばもうすが、あいては、真一文字にうってくるところを、さっそくの早わざで・・・」
「早わざで、どうなされました」
「すばやく、ひたいでうけとめた」
 よくみると、先生のひたいは、青くはれ上がっていました。

おしまい

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