きょうの江戸小話
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6月27日の小話

病人がへた

病人がへた

 やぶ右衛門(やぶざえもん)先生という、お医者がおりました。
 このお医者さんは、、あまりはやらない医者です。
 と、いうのも、ちりょうにきた病人はどういうわけか、みな、前よりもぐあいが悪くなってしまうのです。
  おくさんは、ふしぎにおもって、
「もし、おまえさま。おまえさまのちりょうは、なぜ、こうもききませぬのか。おまえさまは、よっぽど、へたなやぶ医者なのですねえ」
 すると、やぶ右衛門先生は、
「いやいや、わしは、上手医者じゃ。だがな、病人が、みなへたなのじゃ。だから、ちりょうしてもきかぬ」
「まあ、どうして、病人がへたなのです?」
「わしは、書物に書いてあるとおり、ちりょうをしておるのに、病人のほうが、書物どおりに、なおってくれぬのじゃ」
 こういう医者を、やぶ医者と申します。

おしまい

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