きょうの江戸小話
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9月17日の小話

法話

法話

 むかしむかし、ある村に、大そうえらいと評判(ひょうばん)の坊さまがおりました。
 坊さまは村の者たちのために、毎月一回、寺で法話(ほうわ→仏法に関する話のこと →詳細)の会を開いています。
 村人たちには、むずかしい話でしたが、なにしろえらい坊さまの話ということで、みんなありがたがって集まっておりました。
 ある朝のこと、坊さまは久しぶりに外の空気でもすうかなと、散歩に出かけた。
 村の小道をてくてく歩いておると、やがて向こうから馬子(まご→馬の世話係)の茂一(もいち)がやってきます。
 ところがどういうわけか、茂一はえらくつかれたような、ぼんやりとしたようす。
「これこれ、茂一、どこぞぐあいでも悪いのか」
 坊さまが心配してたずねると、茂一は、
「いえ、いえお坊さま、きのうのお坊さまのお話で、夜ねむれずにこまりましたで」
 それをきいた坊さま、自分の話がこの馬子にも、ねむれぬほどの感動をあたえたのかと、それはそれはよろこびました。
「そうか、それは悪いことをした。で、いったいひと晩、何を考えておったのじゃ」
と、聞いてみました。
 すると茂一は、
「きのうのお坊さまの話のとき、ええ気持ちでねむっちまったで、昼にあれだけねてしもうたら、夜にねむれるわけはねえだよ」

おしまい

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