きょうの江戸小話
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10月27日の小話

鬼のたまご

鬼のたまご

 夏のある日。
 山おくの村に住んでいる男が、初めてまちに出かけたときのことです。
 だれがおとしたものやら、まんじゅうをひろいました。
 男はそれが、まんじゅうということをしりません。
 ふところにしまって、村にかえると、しょうやの屋敷に出かけました。
 日ごろから、物知りじまんのしょうやです。
 男は、しょうやに、たずねました。
「まちで、このようなものをひろいましたけど、いったい、なんでございましょう?」
 しょうやは、まんじゅうを手にとって、しげしげながめると、
「うーむ。かたちといい、色といい、まさしくたまごであろう。ワタにつつんで、大事に温めなさい」
 男はいわれたとおり、まんじゅうをワタに包んで、なるべく、あたたかいところにおきました。
 すると、カビがはえてきて、毛のようにみえました。
「しょうやさま、たまごから毛がはえてまいりました。何のたまごでございましょう?」
 男がたずねると、しょうやは大まじめに、
「なに、たまごから毛がはえてきだと? ・・・それは、鬼のたまごにちがいなかろう」

おしまい

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