きょうの江戸小話
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11月30日の小話

てんぐのさいなん

てんぐのさいなん

 あるとき、鼻高てんぐ(→詳細)が、みやこけんぶつをしていると、
「したにーっ、したにーっ」
 大名ぎょうれつに、であいました。
 このぎょうれつにあうと、産婆(さんば→出産を手助けする、助産婦)以外は、だれもが道ばたにすわって、土下座をすることになっています。
 鼻高てんぐも土下座しましたが、鼻がつかえて、あたまがさげきれません。
「これっ、頭が高いぞ!」
 さむらいに、しかられてしまいました。
 鼻高てんぐがこまっていると、目のまえに、鼻がすっぽりはいりそうな、あながありました。
 それは、ねずみのすあなだったのですが、そうとはしらない鼻高てんぐは、鼻を、ぐいっとおしこみました。
 すると、あなのなかの、はらぺこねずみたちが、
「わーい、ごちそうだ、ごちそうだ」
 みんなで、かじりついてきましたから、りっぱな鼻が、たちまち短くなり、鼻高てんぐは、しかたなく、からすてんぐになったということです。

おしまい

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