12月12日の小話
よっぱらい
江戸の町では、夜おそくなりますと、あっちのかど、こっちの道で、よっぱらいがふらふらと、千鳥足(ちどりあし→足もとが、ふらふらしながら歩くようす)で歩いております。
そんなよっぱらいのひとりが、きゅうに気持ちが悪くなり、その場へヘドをはくと、ひっくりかえって、グーグー高いびきをかいて、ねてしまいました。
そこへ、犬が二、三びきやってきて、これはごちそうとばかりに、べロべロべロべロと、よっぱらいの口のまわりまでなめまわしますと、よっぱらいは、
「これはこれは、どなたかはぞんぜぬが、ごかいほう、ありがとうございます」
よっぱらいとは、だれでもこんなものです。
おしまい
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