1月4日の日本民話
踊る三毛猫
福井県の民話
むかしむかし、あるところに、三毛猫を可愛がっている三味線ひきのおばさんがいました。
ある日の事、三毛猫に踊りを教えてみようと思ったおばさんは、いろりに鉄鍋をかけて、その中に三毛猫を座らせました。
それからいろりに少しばかりの炭火を入れて、猫の足がやけどしないぐらいに温めました。
鍋の中が熱くなってくると三毛猫は思わず立ちあがり、すかさずおばさんが鳴らし始めた三味線に合わせるように、熱くなった手足を動かして踊る格好をしました。
「そうそう、上手、上手」
おばさんは猫が手を上げるとピン、足を跳ねるとトン、手足を下ろすとシャンと、上手に三味線をならしました。
こうして少しずつ練習を重ねていると、しまいに三毛猫は三味線の節を覚えて、鉄鍋の中に入れなくても一人で踊るようになりました。
おまけに節に合わせて、
♪ニャ、ニャン、ニャー
と、可愛く言うのです。
この踊る三毛猫の噂はあっというまに広まって、あちらこちらから、ぜひ三毛猫の踊りを見せてくれと頼んでくるようになりました。
♪トン、トン、ピン、シャン
♪ニャ、ニャン、ニャー
ところが、三毛猫があまりにもうまく踊り歌うので、それをねたんだ人たちが、
「あの三毛猫は、化け猫だよ」
と、言い始めました。
それからはおばさんは三毛猫の踊りを人には見せずに、自分だけの楽しみにしたそうです。
おしまい
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