1月25日の日本民話
落ちたカミナリさま
長野県の民話
むかしむかし、雨雲の上でのんびりと昼寝をしていたカミナリさまが、うっかり加茂神社の背の高いケヤキの木に引っかかって、地上に落ちてきました。
ドカーン!!
神主さんがあわてて出てくると、まっ赤な顔をしたカミナリさまが体から煙をふいて倒れているではありませんか。
「カミナリさま、大丈夫ですか?」
心配した神主さんがカミナリさまに近づこうとすると、カミナリさまのまわりに大きなカミナリが何度も落ちました。
ガラガラ、ドカーン!
ガラガラ、ドカーン!
「カミナリさま、どうかおやめください! このままでは神社が、火事になってしまいます」
神主さんが必死でお願いしますが、カミナリさまはカミナリをおこす太鼓を背中にかついでいるので、カミナリさまが少しでも動くたびにカミナリが落ちて来るのです。
そこで怒った神主さんが、祝詞(のりと)をあげると
「カミナリさまと言えば、天の神々の一員。
そのカミナリさまが、地上で暴れるとは何事だ!
加茂明神さま、どうかふとどきなカミナリさまに、きついお仕置きをお願いします」
と、祈りました。
すると天から加茂明神が姿を現してカミナリさまを捕まえると、そのカミナリさまのかかとを剣で切り落としたのです。
これにこりたカミナリさまは、二度と加茂神社には近づかなかったそうです。
そのために今でも、加茂神社には雷が落ちる事はないと言われています。
おしまい
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