5月11日の日本民話
おじいさんはくさかった
広島県の民話
むかしむかし、ある村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんはいつものように、山へしばかりに出かけ、おばあさんもいつものように、川へせんたくに出かけました。
すると川上から、大きなイモが、ドンブラコ、ドンブラコと流れてきました。
「こりゃあ、うまそうなイモだこと」
おばあさんは大喜びでイモをひろうと、イモを家に持って帰り、そのイモを小さく切って、カマでむしあげました。
むしあがったイモはとてもホクホクしていて、とってもおいしそうです。
おばあさんはさっそく一つつまんで、口に入れてみました。
「おやおや、なんておいしいんでしょう」
おばあさんはまた一つ、また一つと、イモをどんどん食べていきました。
するとそのうちに、おなかがはってきて、
「プー、プー」
と、おならが出るようになりました。
それがなんともくさいおならで、おばあさんは思わず鼻をつまみました。
「こりゃ、イモを食べすぎたかな」
おばあさんはしょうじを開けて、おならのにおいを外へ出しました。
そのおならのにおいは風にのって、山のほうへ流れていきました。
「おや? なんだかくさいぞ」
山でしばかりをしていたおじいさんは、あわてて両手をふりました。
「くさい、くさい」
あまりのくささに、しばかりどころではありません。
そこでおじいさんは山をおりて、ウシに食べさせる草をかって帰りました。
それを見たおばあさんが、おじいさんに言いました。
「おや? おじいさん、今日はしばかりじゃなかったのですか?」
すると、おじいさんは鼻をつまんで言いました。
「とんでもない。今日はくさかった」
おしまい
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