7月30日の日本民話
水集め人形
京都府の民話
むかしむかし、高陽親王(かやのみこ)という皇子(おうじ)が、京極寺(きょうごくじ)というお寺を建立(こんりゅう)された頃のお話しです。
親王(みこ)はとても手先の器用な人で、色々な道具を発明しては人々を驚かせていました。
ある年の事です。
その年はひどい日照り続きで、全く雨の降る気配がありませんでした。
それを知った親王は、自ら田んぼの視察に出かけました。
「なるほど、これは想像以上にひどいものだ」
田んぼの水は枯れ果て、ひび割れをおこした地面には、わずかに苗が残っているだけです。
「このままでは、大変な事になる。
何か、良い工夫は無いものか。
この地に水をもたらす、良い工夫は・・・」
しばらく考えた親王は、ある名案を思いついて、御所に帰ると自分の部屋に引きこもりました。
そして親王が部屋に引きこもってから数日後、やっと部屋から出てきた親王の胸には、子どもの人形らしき物が抱かれていたのです。
「これが、役に立てば良いが」
親王はさっそく、その人形を京極寺の田んぼのまん中に設置しました。
人形は両手に大きなおわんを持っていて、それに水を入れると顔にその水をかけるからくりになっていました。
その仕草がまるで本物の人間のようだと評判になり、都中の人々が大勢集まりました。
そして、みんながその人形のからくりを見る為におわんの中に水を入れたので、枯れ果てたこのあたりの田んぼは、再び水を得てよみ返ったという事です。
おしまい
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