9月8日の日本民話
  
  
  
白い鳥
大分県の民話
 むかしむかし、天皇に仕える、うなでという人がいました。
  
 ある日、うなでは中臣村(なかとみむら)という所へ、天皇の用事で出かけました。
 用事を終えたうなでは宿屋に泊まって寝ましたが、あまりの寒さに目を覚ましてしまいました。
 どうやら、戸をきちんと閉めずに寝てしまったのです。
「うう〜っ、寒い」
 うなでは戸を閉めようと、立ちあがりました。
 外を見ると、東の空がほんの少し明るくなっています。
「もうすぐ、夜が明けるのだな」
 うなでが戸を閉めようとしたその時、北の空から飛んで来るたくさんの白い鳥が見えました。
「ほーっ」
 うなでが見ていると白い鳥たちは音もなく近づいて来て、宿屋の前の畑に次々と舞い降りたのです。
 畑一面に白い鳥が舞い降りたのを見て、うなでは思わずためいきをつきました。
「ああっ、こんなにきれいな鳥たちを見たのは初めてだ」
 うなでは戸を開けると、そっと外に出ました。
 そして白い鳥たちの方へ、ゆっくり手を差しのべると、
「ほうー、ほうー」
と、言いながら、近づいていきました。
 そのとたん、白い鳥たちは次々と細い首を羽の下にかくして丸くなると、なんとそのままおもちになってしまったのです。
「おおっ! これはどうした事だ?!」
 びっくりするうなでの目の前で、今度はそのおもちが里いもになりました。
「なんとも、不思議な事もあるものだ」
 うなではその里いもを持って、天皇のもとへ帰りました。
 天皇は、その話しを聞くととても喜び、
「白い鳥は、幸運を運ぶ」
と、言ったそうです。
 そしてその時から、あの中臣村では立派な里いもがとれるようになったそうです。
おしまい
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