きょうの日本民話
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2009年 2月2日の新作昔話

米塚山と糠塚山

米塚山と糠塚山
山形県の民話

 むかしむかしの大むかし、日本中のあちこちで山が爆発していた頃のお話しです。
 爆発すると大きかった山が急に小さくなったり、爆発の勢いで新しい山が生まれたりしていました。
 そんなある日、不思議な二つの山が一緒に地面から生まれました。
 一つは米塚山(こめづかやま)で、もう一つは糠塚山(ぬかづかやま)です。
 どういうわけか米で出来ているので米塚山と呼ばれ、どういうわけか糠で出来ているので糠塚山と呼ばれています。
 米の山の米塚山と糠の山の糠塚山は、いつも何か当てっこをして遊んでいました。
 明日の天気は、晴れか雨か?
 山のてっぺんにとまる鳥は、何の鳥か?
 夜吹く風は、北風か南風か?
 などです。
 そんなふうに当てっこをしているうちに、米塚山と糠塚山は、ひと晩のうちにどっちが大きくなれるか競争してみようということになりました。
 夜になると米塚山と糠塚山は、
「よーい、どん!」
と、ぐんぐん背伸びを始めました。
 ところが米で出来ている米塚山は、大きくなると米がザラザラと落ちて元通りです。
 糠塚山の方でも、大きくなると糠がフワフワと飛び散って、また小さくなってしまいます。
 大きくなると、ザラザラザラ。
 大きくなると、フワフワフワ。
 米塚山と糠塚山は、それを繰り返しながら競争しました。
 やがて空が明るくなり、一番鳥が鳴く頃、ほんの少しだけ大きくなった糠塚山が叫びました。
「勝ったぞ!」
 その声で天の神さまが目を覚まして、米塚山と糠塚山を見て怒りました。
「山が競争するとは、何事だ!」
 天の神さまは怒って、糠塚山のてっぺんをけとばしました。
 そして、
「米塚山も糠塚山も、今からふつうの山になれ」
と、言って、天に帰ってしまいました。
 その日から、米塚山は低い山。
 糠塚山も高いけれど、てっぺんの欠けた姿の山になってしまったのです。

おしまい

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