きょうの日本民話
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2009年 2月13日の新作昔話
和田の竜
兵庫県の民話
むかしむかし、今の村岡町和田のお宮さんのある所に大きな池があって、そこに竜が住んでいるといわれていました。
何でもその竜の姿を見た者は、ひどい高熱を出して、
「・・・竜、・・・竜」
と、うわごとをいって死んでいくのだそうです。
みんなは恐ろしがって、だれもそこへ近づこうとはしません。
ある日の事、この村を旅の坊さんが通りかかりました。
坊さんは竜の噂を聞いて、何とかしてやろうと思い、村人たちに大きな人形と、もぐさと針をいっぱい用意させると、その人形の中にもぐさと針を詰め込んで、池のそばに立たせておいたのです。
しばらくすると、どこからか風が吹いてきて、池の水面が高く波を立て始めました。
坊さんは、人形のもぐさに火をつけて隠れました。
すると突然、池の中から目が金色に光る竜が現れました。
そして竜は、あっという間に人形を飲みこんでしまいました。
さあ、竜の腹の中では、もぐさが燃えて針がチクチクと刺すものですから、さすがの竜もびっくりです。
大暴れに暴れると、やがては力つきて、そのまま池の底深くに沈んでしまいました。
村人は喜びましたが、でもそれからいうもの、村では火事がおこったり、病が広まったりと、悪い事ばかりおこるようになったのです。
そこで誰もが、
「これは、竜のたたりに違いない」
と、うわさするようになり、村人たちは竜の怒りを静めようと、池のほとりに竜神を祭ることにしたのです。
そして男の子の節句になると、その池のショウブで『ショウブ綱』という長い綱が作られるようになったのです。
それからは村で火事が起きたり、病が流行ったりすることはなくなりました。
でも、あるとき、
「竜なんて迷信じゃ」
と、綱を作らない年がありました。
するとその年に、村で火事が起きたり、病が流行ったりしたのです。
それ以来、村では綱を毎年作り続けているのです。
おしまい
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