きょうの日本民話
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2009年 2月21日の新作昔話
山童(やまわらべ)
大分県の民話
むかしむかし、伏木村(ふしきむら)と言うところで、四つになる男の子があんまり夜泣きをするので、お母さんは腹を立てて、
「そんなに泣く子は、化物にやるぞ!」
と、言って、子どもを家の外に追い出しました。
そして戸のすき間から様子を見ていると、子どもの泣き声がだんだん遠くなって、聞こえなくなりました。
びっくりしたお母さんは、お父さんと一緒に外へ出てみましたが、外にはもう子どもの姿はありません。
お父さんとお母さんは、それから何日も何日も子どもを捜し回りましたが、とうとう子どもを見つける事は出来ませんでした。
さて、それから二十年ほど過ぎた頃、伏木村の者が二人、玖珠郡(くすぐん)のあたりで川の岸辺に座って弁当を食べていると、近くのすすきの中から鬼のような姿の男が出てきたのです。
そして、その鬼のような男が近寄ってきて、
「その飯を食わせろ」
と、言うのです。
二人が震えながら食べかけの弁当を差し出すと、男はそれをがつがつと食べながら、
「あんた方は、どこの村の衆か?」
と、訪ねました。
「わ、わしらは、伏木村の者じゃ」
そう答えると、男はびっくりしながら、
「わしも伏木村の者じゃ。むかし、わしがまだ子どもの頃、あんまし泣くというので親から捨てられ、こげな事になっちょる。この恨みを一言、言ってやりてえが、なかなか機会がないんじゃ。あんたらは村に帰ったら、わしの親にこの事を言ってくれ」
と、言うなり、男はすすきの中に消えてしまいました。
伏木村に戻った二人はその事を男の両親に伝え、そして村では、子どもが泣いても外に出さないようになったということです。
おしまい
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