きょうの日本民話
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2009年 3月3日の新作昔話
島女(しまじょ)の祠(ほこら)
長崎県の民話
むかしむかし、石田(いしだ)のお城には、島女(しまじょ)という御殿女中(ごてんじょちゅう)がいました。
気立てがよく、みんなの嫌がる仕事でもすすんでやるので、城の者や女中仲間からも大変可愛がられていました。
ある日の事、殿さまは島女に、茶を持ってくるよう命じました。
島女はしばらくして、茶を持ってもどって来ました。
ところが部屋へ入ろうとしたとき、うっかり敷居(しきい)をふんでしまい、そのひょうしに、
グーー!
と、妙な音が出たのです。
それを聞いた殿さまは、
「これ、今の音は何じゃ?」
と、尋ねました。
「お許し下さいませ、敷居がきしんだのでございます」
島女が答えると、殿さんは笑いながら、
「敷居ではのうて、お前の尻がきしんだのではないか?」
と、冗談でいいました。
すると、そばにいた家来たちも、クスクスと笑いました。
島女は顔をまっ赤にすると、おじぎをして、逃げるように部屋を出て行きました。
ところがその夜、島女は城を出たきり、いつまでたっても戻ってこなかったのです。
心配した女中たちが探しに行くと、なんと大津の町外れの海に浮いている島女が見つかったのでした。
いくら冗談でも、島女にしてみれば死ぬほど恥かしかったのでしょう。
これを知った殿さまは、自分の軽い冗談を大変後悔して、あわれな島女のために、城山神社(しろやまじんじゃ)の境内に祠(ほこら)を建ててやりました。
そしてこの島女が大変な豆腐好きだったので、人々はこの祠の前を通るときは、かならず豆腐を供えてやったそうです。
おしまい
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