きょうの日本民話
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2009年 3月14日の新作昔話
三笠山
長野県の民話
むかしむかし、木曽(きそ)の山中に、天狗(てんぐ)が住んでいました。
天狗は毎日、御嶽山(おんたけさん)のてっぺんに寝そべって、富士山を眺めては、
(何とか、あの富士山よりも高くて立派な山をつくりたい)
と、考えていました。
そんなある日の事、天狗はこんな事を思いつきました。
(このお山のてっぺんに他から山を持ってきて三つ笠のように並べたら、きっと立派な山が出来るに違いない)
そこで天狗は真夜中になると、形の良い山を探しました。
そしてある晩、三岳村(みたけむら)にやってきた天狗は、倉越山(くらごえやま)に目をつけて、ためしに倉越山を御嶽山(おんたけさん)のてっぺんに乗せてみました。
すると、なかなかの良い出来です。
「よし、この分なら、夜明けまでには出来上がるだろう。とりあえず、倉越山は元に戻してと」
天狗はすっかり安心して、少し休むつもりで横になると、そのままグーグーと眠ってしまいました。
やがて朝が来て、一番鶏の鳴き声がしました。
天狗はあわてて飛び起きたものの、東の空はすでに明るく、おまけに朝の早い百姓に見つかってしまったのです。
「しまった、あと二つで三笠山だったのに」
そう叫びながら山の方へ逃げて行き、それっきり二度と姿を現わしませんでした。
それからこの山を、三笠山と呼ぶようになったそうです。
おしまい
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