きょうの日本民話
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2009年 3月29日の新作昔話
小盗山(こぬすみやま)と有子山(こありやま)
兵庫県の民話
今から四百年ほど前、出石(いずし→兵庫県北部)は山名氏(やまなし)の城下町でした。
室町時代には出石の中心である比隅山(このすみやま)に城を築き、その子どもの時ひろの時代には、全国六十余州のうち、十一ヶ国を山名一族(やまないちぞく)が占めていたそうです。
これだけ全盛を極めた山名氏も、だんだんと勢力を失っていき、室町の末の祐豊(すけとよ)の代の頃には、やっと但馬一国が守れる程度になっていました。
ところでこの祐豊には二人の男の子がいましたが、二人とも若くして死んでしまったのです。
そこで祐豊の隠居後は、氏政(うじまさ)が城をついだのですが、不幸なことに、いつまでたっても世継の子どもが出来ません。
そこであるとき、氏政は易者を呼んで占わせました。
すると易者は、
「比隅城は場所が悪い、半里ほど南の山に城を移せばよいでしょう」
と、いうのです。
天正二年、さっそく言われた通りに新しい城を築くと、まもなく子どもが生まれました。
それからいうものは、不運の続いた比隅山を『小盗山』と呼び、新しく城を築いて子どもの生れた山を『有子山』と呼ぶようになったのです。
おしまい
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