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2008年 4月4日の新作昔話

 けんかがうつる 庄屋けんかがうつる 吉四六

けんかがうつる
大分県の民話

 むかしむかし、きっちょむさんと言う、とてもゆかいな人がいました。
 そのきっちょむさんの家のとなりの夫婦は、いつもけんかばかりしています。
 大声を出してどなりあうし、物は投げつけるわで、大変なさわぎです。
 そこできっちょむさんは、ある朝、となりとの間に、かきねをこしらえはじめたものです。
 それを、たまたまやってきた庄屋さんが見て言いました。
「よう、きっちょむさん。何をしてるのかね?」
 するときっちょむさんは、
「何って、見ればわかるでしょう。かきねをつくっているんです」
「それはわかるが、なぜ?」
「それはもちろん、となりの夫婦げんかが、こっちにうつらんようにですよ」
「ああ、この夫婦な。しかし、けんかという物は、うつるもんじゃない。だから、かきねなど作っても無駄じゃ」
「いいや、うつりますよ」
「うつらんて」
 きっちょむさんも庄屋さんも、だんだん声が大きくなってきました。
「だから、うつらんといっているだろう!」
「うつりますとも!」
「うつるもんか!」
「うつるとも!」
「うつらん!」
「うつる!」
 そこで、きっちょむさんがいいました。
「ほら、けんかがうつったでしょう」

おしまい

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