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2008年 4月30日の新作昔話

ホジャおじさんのぬれない秘密

ホジャおじさんのぬれない秘密
トルコの昔話

 むかしむかし、トルコの国に、ナスレッディン・ホジャという、とても変わった人がいました。
 ある時、ホジャおじさんは王さまと一緒に、狩りに出かけることになりました。
 ホジャおじさんの馬は、見かけはとても立派なのですが、走るのがとても遅い馬でした。
 家来たちがホジャおじさんを困らせようと、わざとそんな馬にのせたのです。
 その狩りのまっ最中に、はげしい雨がふってきました。
 王さまと家来たちは馬をとばして、大急ぎでお城へ帰って行きました。
 ホジャおじさんも早く帰りたいのですが、いくらムチでたたいても、この馬は走りません。
 トコトコ、トコトコ、のんびり歩くだけです。
「仕方ないな」
 そこでホジャおじさんは着物を脱いで、ぬらさないように馬の腹の下にしまいました。
 そしてやっとのことで、お城へたどりつきました。
 ホジャおじさんはぬれた体をふいて、馬の腹の下にしまっていた着物をきて、王さまのところへ行きました。
 すると、ぬれていないホジャおじさんを見て、王さまがたずねました。
「あれっ? ホジャよ、お前はぜんぜんぬれていないが、どうしてぬれずにこれたんだね?」
 するとホジャおじさんは、当たり前のように言いました。
「はい、王さま。あの馬のおかげで、ぬれずにすみました」
「ほほう、あの馬は、そんなに早い馬だったのか。よし、今度の狩りの時は、わしがのるぞ」
 何日かたって、王さまはまた、狩りに出かけました。
 今度も途中で、雨がふってきました。
 王さまが急いで帰ろうと、馬をムチで打ちましたが、馬はいっこうに走りません。
 お城へたどりついた時には、王さまはびしょぬれになっていました。
 怒った王さまは、すぐにホジャおじさんをよびつけました。
「この大うそつきめ! わしは、びしょぬれになったぞ!」
 それを聞いたホジャおじさんは、笑って答えました。
「王さま、あなたはこの国で、一番偉い人ですが、頭はわたしより良くありませんね」
「うん? どういう意味だ?」
「はい、雨がふってきたら着物を脱いで、馬の腹の下にしまうのですよ。そして雨があがったら、着物をとり出せばいい。わたしは言ったでしょう。『馬のおかげで、ぬれずにすみました』って」
「そうか。たしかにそうじゃ。あははははっ、これはまいった、まいった」
 王さまはホジャおじさんの頭のよさに、すっかり感心してしまいました。

おしまい

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