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2008年 5月21日の新作昔話

おばあさんと白くま

おばあさんと白くま
カナダの昔話

 むかしむかし、ある村に、おばあさんが一人で住んでいました。
 ある日、近所のおかみさんが、白い子ぐまをだいてやってきました。
「見てください。うちの主人が捕まえてきたのです。よかったら、おばあさんにあげますよ」
「まあ、なんてかわいい子ぐまでしょう」
 おばあさんは大喜びで、その子ぐまをもらいました。
 子ぐまは子犬のように、とてもかわいい目をしていました。
 おばあさんは、まるで自分の子どもみたいに子ぐまを育てました。
 子ぐまはどんどん大きくなって、やがて立派な大人のくまになりました。
 そのくまを見て、近所の男の人が言いました。
「あのくまに、アザラシをとらせたらどうだろう。きっと、すごいのをとると思うよ」
 そこでおばあさんが、くまにたずねました。
「くまちゃんどうだい。アザラシをとりに行くかね?」
 するとくまは、うれしそうにおばあさんの手をなめました。
「よしよし、それなら行っておいで。でも、けがをしないように気をつけるんだよ」
 おばあさんはそう言って、くまの頭をなでました。
 くまは男の人たちと一緒に、雪のふる氷の海へ出かけていきました。
「いいか、アザラシを見つけたら、風下の方から追うんだぞ。そうしないとお前のにおいに気がついて、アザラシは逃げてしまうからな」
 かしこいくまは、言われたように風下からアザラシに近づき、大きなアザラシを五頭も捕まえました。
 これだけあれば、とうぶんの間は食べ物に困りません。
 それからというもの、男の人たちはアザラシをとりに行くときは、決まってこのくまを連れて行きました。
 ところがある日、くまはよその村の人に、鉄砲で撃ち殺されそうになりました。
 おばあさんは心配して、人に飼われているくまだという目印に首輪をつくり、くまの首にまきつけてあげました。
「いいかい、どうなことがあっても、決して人を襲ってはいけないよ」
 おばあさんは、やさしく言い聞かせました。
 それからしばらくたったころ、どうしたことか、夕方になってもくまがもどってきませんでした。
 おばあさんはもう心配で心配で、じっとしていられません。
 すると夜おそく、くまが知らない男の人をくわえてもどってきました。
 おばあさんはびっくりして男の人をだきあげようとしたら、もうつめたくなっていました。
「大変だ。うちのくまが死んだ人を連れてきたよ!」
 おばあさんのさけび声を聞いて、近所の人たちが集まってきました。
「上着がこんなにやぶけているのは、くまにかみ殺されたからだ!」
「首輪のついているくまなのに、それを殺そうとしたから、くまが怒ってかみ殺したにちがいない」
 みんな、口ぐちに言いました。
 おばあさんはくまをしっかり抱いて、声をふるわせながら言いました。
「お前は、なんておそろしいことをしてくれたんだい。これでもう、お前はわたしと一緒にくらせない。お前は、人のいない遠いところでくらすしかないんだよ」
 次の日は、すばらしいお天気でした。
 おばあさんはすすと油を混ぜてまっ黒の塗料を作ると、それをくまのお腹に塗りました。
 そして、目になみだをいっぱいためて言いました。
「さあ、お行き」
 首輪をはずしてもらったくまは、何度も何度もおばあさんをふり返りながら遠ざかっていきました。
 それから何年かたって、おばあさんは村の若い人から、遠い雪原で見つけたくまの話を聞きました。
「お腹に黒いもようのある、珍しい白くまだったよ」
 そのとたん、おばあさんは思いました。
(きっと、あのくまにちがいない。やっぱり元気でいてくれたんだ)
 胸がいっぱいになったおばあさんは、遠い北の空をいつまでもながめていました。

おしまい

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