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2008年 6月2日の新作昔話

子どもをうむなべ

子どもをうむなべ
ロシアの昔話

 むかしむかし、いたずらのとても好きな男がいました。
 ある日、となりの欲張りをからかってやろうと思い、なべを借りに行きました。
「お客さまが来るので、なべを貸してくれないか?」
「とんでもない! 人に貸すようななべはないよ」
「頼むよ。お礼はするからさ」
「・・・お礼か」
 お礼と聞いて、欲張りはしぶしぶなべを貸してくれました。
 次の日、男は借りたなべの上に、もう一つ小さななべをのせて、欲張りのところへ行きました。
 そして、欲張りにいいました。
「お前のなべは、どうやら女らしい。昨日、わしの家でこの小さななべをうんだよ」
 そのとたん、欲張りはニコニコして、
「そいつはありがたい。わざわざ届けてくれてありがとう」
 言うなり、二つのなべをしまいこんでしまいました。
 しばらくして、男はまた欲張りのところへなべを借りに行きました。
 すると欲張りが、なべをわたして言いました。
「どうもこのなべは、また子どもをうみそうなんだ。しかも今度は双子らしい。子どもがうまれたら、かならず全部持ってきてくれ」
「わかった。約束するよ」
 ところが男は、いつまでたってもなべを返してくれません。
 欲張りはがまんできずに、男の家へ行きました。
「どうしてなべを返さない? 双子のなべと一緒にすぐ返してくれ!」
 すると男は、悲しそうな顔で言いました。
「いやあ、お気の毒だが、あんたのなべは双子をうむのに苦しんで、そのまま死んでしまったよ」

おしまい

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