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2008年 6月16日の新作昔話

だまされたお坊さん

だまされたお坊さん
インドの昔話

 むかしむかし、お坊さんが村で一匹のやぎを買いました。
 それを見た、三人の悪者が相談して、
「あのやぎを、おれたちのものにしよう」
と、決めました。
 そこで三人は先まわりをして、一人ずつお坊さんを待つことにしました。
 お坊さんがやぎを肩にかついでやってくると、一番はじめの男が言いました。
「お坊さん、犬なんか肩にかついで、どうするのですか?」
「おや? これが犬に見えるのか? これは、仏さまにおそなえするやぎだ」
 お坊さんは、おかしなことを言う男だと思いながら、通りすぎていきました。
 しばらく行くと、二番目の男が言いました。
「お坊さん、犬なんか肩にかついで、どうするのですか?」
 お坊さんはびっくりして、やぎを下におろしました。
 調べてみましたが、やっぱりやぎです。
「なんでこれが犬に見えるのか? ばかなことを言うもんじゃない」
 お坊さんは、またやぎをかついで歩きだしました。
 でも、二度も同じことを言われて、ちょっと不安になってきました。
(わたしがかついでいるのは、やぎのはずだが、もしかして、犬なのか?)
 すると、三番目の男が言いました。
「お坊さん、犬なんか肩にかついで、どうするのですか?」
 そのとたん、お坊さんは本当に犬をかついでいるような気がしました。
「やれやれ、疲れていたのかな。やぎと犬を間違えて買ってしまうとは」
 お坊さんはやぎを投げすてると、さっさと家にもどっていきました。
「しめしめ、うまくいったぞ」
 三人の悪者はそのやぎを捕まえて、夕ごはんのごちそうにしました。

おしまい

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