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2008年 6月29日の新作昔話

縁起かつぎ

縁起かつぎ
江戸小話

 むかし、あるところに大きな店がありました。
 商売をしていれば、だれでも少しは縁起をかつぐものですが、この店のだんなときたら、大の縁起かつぎです。
 特に、『し』や『四』のつく言葉は、縁起が悪いといって絶対に使いません。
 たとえば、おしりの事は、おけつと言うくらいです。
 新しい小僧さんをやとうときには、必ずその事を言って、
「うっかりでも、『し』や『四』のつく言葉を口にしたら罰金を取る。そのかわり、わしがもしも口にしたら罰金を払おう。わかったら、そのつもりで働きなさい」
と、約束をさせました。
 あるとき、さだ吉という小僧さんがやとわれました。
 なかなかとんちのきくさだ吉は、
「よし、だんなから罰金をいただくとするか」
と、知恵を働かせました。
 ある日、さだ吉は店のお使い先から帰ってくると、
「だんなさま、だんなさま。お使いの途中で、めずらしいものを見つけました」
「ほう、何を見つけたんだ?」
「はい、木のかまで、ごはんをたいている人がいました」
 だんなは、それがさだ吉のとんちだとは気がつかずに、思わず、
「ばかな。木のかまでは、かまのしりがこげるだろう」
と、言ってしまいました。
「はい、罰金!」
「ああっ、しまった!」
 こうしてさだ吉は、だんなから、まんまと罰金をもらうことに成功したのです。

おしまい

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