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2008年 7月12日の新作昔話

しかばねをねらう娘

しかばねをねらう娘

 むかしむかし、ある山のふもとに、お寺がありました。
  ある雨のふる晩のこと、このお寺の戸をたたくものがありました。
「だれじゃ、いまごろ」
  和尚さんがしぶしぶ起き出していくと、そこにはきれいな娘がたっていました。
「はて、どんなご用かな?」
「はい、この間、こちらでとむらっていただいた人のしかばねをひきとらせてください。家で、とむらいなおしたいのです」
  娘はしずかな口ぶりでいいましたが、目がらんらんとしていて、体からは動物のにおいがします。
  和尚さんは、この娘を化け物にちがいないと思いました。
  そこで、
「いいや、ことわる。すぐに立ち去るがよい」
と、いったところ、娘はとたんにおそろしい顔で、
「おぼえていろ! 近いうちに、必ず仕返しをしてやる!」
  そういったかとおもうと、ふっといなくなりました。
  それからしばらくたったある日、村にお葬式がありました。
  和尚さんがお経をあげにいくと、その家のかげに、髪の長いきれいな娘がいて、こちらをじっと見つめています。
(あやつは、この間の化け物だな。きょうの葬式のしかばねを、お墓に運ぶ途中でうばうつもりだな)
  和尚さんはお葬式がおわると、お墓へいく人たちに、棺桶(かんおけ)をしっかりとかつがせました。
  お葬式の人たちがお墓へむかうと急に天気があやしくなって、かみなりがとどろきはじめました。
  まっくらな空からは、大つぶの雨がふってきます。
(あの化け物の仕業にちがいない。ちと、こらしめてやるか)
  和尚さんは、懸命にお経をとなえると、
「かぁぁーーっ!」
  気合いとともに、つえをふりあげました。
  すると空から何かが、どさっと落ちてきました。
「なんだ、なんだ」
  人々がかけよってみると、それは年をとった大オオカミで死体だったそうです。

おしまい

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